黒川清さんの著書、「イノベーション思考法」を読んだ。
現在のグローバル時代の中で必要なのは、技術革新ではなくイノベーションであると著者は述べているが、私も同じ考えだ。
例えばコンピューター事業ではいくつかの企業が技術力、価格のみで競いながら、結局はまったく同じようなものを創っているように、同じ枠組みの中で横並びの競争をしている感が否めないと思う。
商品を差別化せず同じ顧客層のパイを奪い合い続け、しかもいかに安く売るかばかり考えていたら、全体の利益率が低下していくのは当たり前である。
その上そこに中国やインドから同じ質でよりやすいものが輸入されてくるようになれば、ますます日本の競争力は低下する。
今の日本に必要なのは新しいアイディアや技術の発見ではなく、それを元に新しい「価値」を創造し、社会に広め、経済成長を呼び起こし、社会全体を変えるような、「イノベーション」なのだ。
日本でイノベーションが起こるのを妨げてきた要因を、著者は「政産官の鉄のトライアングル」としている。
政治、産業、官僚が一体となり、過去の成功モデルに縛られ、また、自分たちの既得権益を守ろうとしたことが変革の芽を摘んできた。
それを打破するのは、すでにある「組織」ではなく新たな「個」「人財」ではないだろうか。
原因が「政産官の鉄のトライアングル」にあるとしても、責任を他人に投げやりにし、誰かが何かを変えてくれるのを待ちながら愚痴を言っているだけの人も同じ穴の狢だろう。
自分の安定を保証してくれるレールを誰かが引いてくれるのを待っているだけなのだから。
大きな組織に身をゆだねて、言われたことを黙々とこなしながら年功序列、終身雇用、退職金という制度を前に自分をつぶしていてはだめだ。
責任を他人に丸投げし、愚痴ばかり言っていてもだめだ。
常に新しい価値を創造する視点を持ち、自分の心の声、信念を貫く強さを持ち続けたいと思う。
Follow your heart.
Stay hungry, stay foolish.
-Steve Jobs
イノベーション思考法 (PHP新書) | |
黒川 清
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