鈴木義幸さんの著書、「セルフトーク・マネジメントのすすめ」を読んだ。
「試合になると本来の力が出せない」
「面接やスピーチで緊張してしまう」
本書はそんな人にお勧めだ。
本書でいうセルフトークとは、感情や行動の引き金として、自分の中に生まれることばのことを言う。
セルフトークには二つのタイプがあり、一つは刺激によって自動的に生まれ、「感情」を呼び起こし、「反応」としての行動を導くセルフトークA(automatic)、もう一つは自分の意思で生み出して、「理性」を呼び起こし、「対応」としての行動を導くセルフトークB(bear)である。
常に安定したパフォーマンスを引き出すには、このセルフトークAをセルフトークBによって「変える」「使う」「減らす」「なくす」という対応が有効だ。
一つ面白い例を本書から引用したい。
人が自分の実力を最大限に発揮できるのは、おおむね誰か他の人のために行動する場合です。自分のためだけに働くときのパフォーマンスは、(他の条件が同じなら)誰かのために働くときのパフォーマンスを確実に下回ります。これは、集団でしか生存できない、人間としての生物的な特徴です。
これは面接やスピーチに応用できる。
例えば「みんなにいいところを見せたい」「できる人間だと思われたい」というセルフトークAが生まれるとどんどん緊張してしまう。
そんなときはすぐにそれを「主賓や出席者のためには何を伝えるのが役立つか?」「どう話せば、相手にこの商品のよさを理解してもらい、相手の仕事をより快適にすることができるか?」と、どうしたら相手に貢献できるかに焦点を置き換えるのが有効だ。
また、話の内容にも工夫ができる。
また、セルフトークAを防ぐためには、話の内容にも注意すべきです。自分の言葉を、すべて自分が言いたいこと(want)にする、これが鉄則です。形式としていわなければならないこと(must)が入れば入るほどセルフトークAが生まれ、緊張しやすくなります。
スピーチの内容をすべて自分が話したいことだけにすれば緊張しないわけだ。
私も普段あまり形式的なことは言わず、自分が本当に思っていることだけを言うようにしているので、この効果は実感できるところだ。
以下、自分用のメモ
●心が二つある状態のとき、人は疑う。人間の心は絶え間なく発生するセルフトークによって、プラス→マイナス→プラス→マイナスと常に揺り動かされている。そのことを自覚せず、ポジティブな言葉に頼っているだけでは限界がある。
●「すべてが自分しだいであるから、他者や環境すら変えることができる」と言う考え方が「自責の質問」、「すべて他人のせいだから自分は何もできない」という考え方が「他責の質問」
●悩むというのは、答を手にしたいのに、その答が手に入らず、同じところをぐるぐる回っているような状態。考えると言うのは、答を探すのではなく、答に至る問いを自分の中で立てるプロセス。
セルフトーク・マネジメントのすすめ | |
鈴木 義幸
日本実業出版社 2008-04-24 おすすめ平均 |