斎藤孝さんと梅田望夫さんの著書、「私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる」を読んだ。
今回面白かったのは、「好きな仕事」でないとサバイバルできない、というテーマだった。
梅田さんはよく、「好きなことを貫く」とおっしゃるが、それは好きなことを貫けば幸せになれるというより、好きなことを貫くくらいでなければITが進化した現代では通用しないという意識からきているようだ。
とにかく、仕事の対象への愛情がないとサバイバルできない。いやいや仕事している、長時間やるのが苦痛だと言う仕事では、これからは競争力が出ない時代なのだと思います。
好きで入れ込める人でないと、もたない社会になってきたというのは、「好きなことやろうよ」という一見やわらかいメッセージとは、似ているようだけれど全く違う厳しい社会ということですね。
やりたいことがない、などと悠長に構えている暇はないのかもしれない。
自分の志向性にあった場所を、本気で探さなければならない。
問題は、どうすればそれが見つかるかだ。
「自己分析」「自分探し」。
就活でよく耳にするこれらだが、私は昔から(多分中学生くらいから)この言葉が嫌いだった。
なので、「自分探し」という言葉に以前から違和感があったという斎藤さんに素直に共感できた。
私がこの言葉が嫌いなのには二つの理由がある。
一つは、そもそも個性というものは、人との関係性の中から磨かれ、形成されていくものだからだ。
いくら自分の内面を見つめたところで個性などでてこない。
自分の中に自分をいくら探したところで、新しい自分は出てこない。
当然、そこから自分の行くべき道など見えはしない。
そしてもう一つは、そもそも「自分とは何か」を知ることに大した意味があるとは思えないからだ。
大事なのは、「自分が何を成し遂げたいのか、どんな人物になりたいのか、どういう生活がしたいのか」であり、「そのために今何をしているか、何ができるか」なのではないか。
大事なのは今どこにいるかではなく、これからどこへ向かいたいのかという、志向性だ。
梅田さんの提唱する「ロールモデル思考法」(「ウェブ時代をゆく」参照)は、自分の志向性を見つける上で大変参考になる考え方だと思う。
ウェブに興味のある人もない人も、「ウェブ進化論」「ウェブ時代を行く」の2冊だけは、絶対に読んでおくべきだなと、本書を読んでますます強く感じた。
私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書) | |
齋藤孝 梅田望夫
筑摩書房 2008-05-08 おすすめ平均 |
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