若鍋孝司さんの著書、「20代でファーストキャリアを築ける人、築けない人」を読んだ。
本書は入社して数年間で若者が築いていくキャリア、「ファーストキャリア」をいかにすごすべきか述べている。
面白かったのが、「オンリーワンよりナンバーワンを目指せ」という部分だ。
著者が言うには、最近の新人社員は「自分らしく」「自分に合った」「自分が楽しい」仕事をしたがり、その根底には「オンリーワン」信仰があると言う。
“オンリーワン”には、それぞれの個人にはよさがあるはずだから全員を認めてあげたい、負けの人間は作らないという教育観念がこめられています。
(中略)
ビジネスの大前提は”ナンバーワン”です。
ある限定された分野でナンバーワンになるからこそ、その独自技術や独自手法がオンリーワンと題されるのです。
(中略)
オンリーワンだから勝たなくていい、自分が満足していればいいという考え方は、負け犬根性まで生み出してしまうのではないかと心配になります。
そもそもオンリーワンというのは、負けてもいいという文化ではないはずだ。
学校のテストの点数、偏差値と言った、単一の価値観で人に優劣をつけるのはおかしい。
みんなそれぞれ違ったよさや才能があるのだから、それぞれの才能を伸ばし、その分野で輝けばいいのだ。
例えばある分野では隠れたものすごい才能を持っているのに、ペーパーテストが苦手だからという理由で親や教師から「出来ない子」のレッテルを貼られた子供は、「自分は出来ない子だから…」と、自分の力を信じなくなってしまう。
持っている才能を開花させてあげるには、何よりも周りがその子を信じてあげることが大切で、そうすることで初めて本人が自分を信じられるようになる。
そういうときにパワーは生まれるのだ。
だからお互いを認め合おう、というのがオンリーワンの考え方ではないのかと思う。
だが著者の言うように、実際には「オンリーワンだから勝てなくてもいい、自分らしく今のままでいれば周りが認めてくれる、認めてくれないのは相手が悪い」と勘違いしている人がいるとなると大問題だ。
そんな考えでは「only」どころか、いくらでも代わりがいる人間にしかなれない。
著者の言うように、ある分野でナンバーワンになるほどの力があって初めて、オンリーワンと周りから評されるのだと思う。
それ以外で特に気になった部分は、以下に簡単にまとめた。
●成長には仕事の環境も大事だが、それ以上に、その環境で自分がどう考え、どう行動するかが重要である。
●成長できない若手ビジネスパーソンは、自分軸を手放せない。
●「よい」のレベルで満足していると、競合がやってきて自分のパフォーマンスが決して高いものでなくなるか、顧客や取引先、関係者がそのパフォーマンスに慣れ、飽きて、要求が厳しくなるかのどちらかが起こる。
●自分とは違う「異質なもの」を見つけたら、自分に取り込んで成長するビッグチャンスである。
●すべての原因は自分にある。
20代でファーストキャリアを築ける人、築けない人 | |
若鍋 孝司
ファーストプレス 2008-04-19 おすすめ平均 |