坂本光司さんの著書、「日本でいちばん大切にしたい会社」を読んだ。
ここ数年企業の不祥事がクローズアップされているが、法律や社会のルールを平気で破るこれらの企業は、社会のものである企業を私物化した結果だと著者は言う。
そもそも会社は経営者や株主だけのものではないのだ。
そこを勘違いすると、「真に正しい経営」が出来なくなる。
企業には「五人に対する使命と責任」があると著者は言う。
上から順に、「社員とその家族」「外注先、下請企業の社員とその家族」「顧客」「地域社会、地域住民」「株主、出資者」であり、これら全てを幸せにすることが「真に正しい経営」なのだ。
この順番にも理由がある。
最近は最も重要なのは株主や顧客の満足だという人もいるが、これらを達成するのは誰かと言うと自社の社員であり、外注先、下請け企業として協力してくれる企業の社員なのである。
私が社員を一番目に上げる理由は、お客様を感動させるような商品を創ったり、サービスを提供したりしなければいけない当の社員が、自分の所属する会社に対する不平や不満・不信の気持ちに満ち満ちているようでは、ニコニコ顔でサービスを提供することなどできるわけがないからです。
誰かの犠牲のうえに成り立つ組織は正しくないのです。
そこを理解せずに株主の満足度を優先して追求する経営を行うと、短期の業績や株価の動向に一喜一憂し、長期的視点にたった正しい判断ができなくなる。
正しい決断をし続けていくには、ブレない正しい視点を持つことが大切です。
会社が今やっていること、これからやろうとしていることについて、「儲かるか儲からないか」とか、「他者に勝つか負けるか」という視点ではなく、それが「正しいか正しくないか」「どんな判断をすることが社員のため・お客様のため・地域社会のためになるのか」などといった、会社がもっていなければならない正義感や倫理観に立って決断しなければなりません。
本書では上記の「五人に対する使命と責任」を信念を持って果たし続けている、「日本でいちばん大切にしたい会社」が紹介されている。
障害を持つ少女を雇うかどうかを判断する際に、会社にとって有益かどうかではなく、その子の一生を幸せにしてあげられるかどうか、それが今の会社に出来るかどうかで悩んだという日本理化学工業株式会社に、私は特に心を打たれた。
正しいことをしようという強い想いを持つことの尊さ、企業ビジョンや経営理念の大切さを改めて感じさせてくれる良書だった。
以下、私用メモ
がんばれるのにがんばらないのは偽者の弱者であり、手を差し伸べる必要はない
日本でいちばん大切にしたい会社 | |
坂本 光司
あさ出版 2008-03-21 おすすめ平均 |
One comment
あさ出版の木内と申します。
このたびは『日本でいちばん大切にしたい会社』をご紹介頂き、どうもありがとうございました。
LEMONed-iCecream様のブログを『日本で一番大切にしたい会社』公式ブログにて紹介させて頂きましたので、よろしければご覧下さい。
http://blog.canpan.info/nihon/archive/9
また、日本理化学工業のエピソードと、著者の坂本先生からのご挨拶が入った動画を作りましたので、是非ご覧下さい。
【特集ページURL】
http://www.sinkan.jp/special/care_in_jp/index.html
【YouTube動画URL】
http://jp.youtube.com/watch?v=mvA0n1fctyA
(↑ブログにもお貼りいただけます)
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今後とも、どうぞよろしくお願い致します。