植木理恵さんの著書、「人を見る目がない人―なぜ人は人を見誤るのか?」を読んだ。
本書は
第1章 人は、なぜ人を見誤るのか
第2章 こうして人は騙される
第3章 さらば間違いだらけの「人選び」
という章立てになっているが、特に第3章の内容は採用面接などで活用できそうで、面白い。
例えば「伸びる人・見掛け倒しの人」というテーマがある。
心理学では、「価値観」を「成功をおさめるために、人間がやるべきもっとも必要な行動は何か?」という個人的信念や哲学だと定義づけているそうだ。
そして、この「価値観」によって、その人が伸びる人か見掛け倒しの人かが分かるらしい。
心理学で価値観は、3種類に要約される。
「物量志向」「状況志向」「戦略志向」である。
「物量志向」は、とにかく長い時間をかけてあきらめずにトライすることが成功には必要だとするタイプだ。
こういう人たちは一見モチベーションが高く情熱的に見えるが、ひとたびうまく行かなくなると、「自分は根性が足りない人間だ」「この仕事は向かないかも」と自責的に落ち込み、もう一度奮起するのに時間がかかる。
こういう人は伸び悩むことが多い。
「状況志向」は逆に、自分を省みず他責にするタイプだ。
「うまくいかないのは取り巻きが悪い」「状況さえ変われば自分はもっと才能を伸ばせる」と信じている。
こういう人が伸びる可能性はゼロに等しい。
「戦略志向」は、基本的には何かがうまく行かなかったとき「自分の力不足だ」と考える。
しかし物量志向と決定的に違うのは、漠然と努力不足だと考えるのではなく、「ここがまずかったから次はこの手で行こう」と戦略的に考える。
失敗を楽しむタイプだ。
こういう人は目に見えて伸びる。
ちなみに日本人の6割は物量志向らしい。
以下、私用メモ
●初対面で感じる直感は、エピソード記憶と強く関連しており、正確ではない
●私たちは人を見るとき、ボトムアップではなく、トップダウン的に見てしまうから見誤る
●自己拡張コメントをしてくれる人の言葉を、人は妄信しやすい
●自分がしゃべればしゃべるほど、相手とウマがあうと感じやすい(ペーシング)
●長所ばかり並べ立てず、あえて短所も途中に織り交ぜたほうが胡散臭さがなくなる
●人は、うまくいくかいかないかが大体50%の状態で、一番興味を引く
●アメと無視
●「せっかく失敗したんだから、それを有意義に生かさないと損」という葉そうパターンを常に持てば、メンタル面の治癒が早く、自己洞察する力も育つ
●ビジネスで大成功している人は本当に昔の偉人のことをよく勉強している
人を見る目がない人 (セオリーブックス) | |
植木 理恵
講談社 2008-04 おすすめ平均 |