小宮一慶さんの著書、「「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本」を読んだ。
本書は会計学などの知識がなくても、「会社の数字」の基本を理解することで大まかな経済の動きがつかめるようになっており、「数字には弱いけど仕事に必要な会計の知識を身につけたい」という人にはうってつけだ。
本書は8章からなっており、各章でまず会計の基本用語、その概念から読み取れる情報を解説し、その後実際の企業の事例を通して数字からその会社の状況を分析していくと言う流れになっている。
そのため非常に実践的な知識が初心者でも十分理解できる。
実際、例えば貸借対照表をどう読めばいいのか全く分からなかった私でも、どこに着目すればどんな情報が得られるのかが分かるようになった。
また、本書の根底にある著者の考え方も共感を呼ぶものだった。
第8章にて著者は経営計画について、まず利益から立てるものだと述べている。
まず必要な利益額を計算し、それを達成するために必要な売上高、経費を逆算していくのが正しいと言う。
そこには「売上高、利益は執念ではなく信念で出すものだ」という著者の哲学がある。
私は、売上高は、企業と社会との接点だと考えています。企業が商品やサービスを提供した「対価」なのです。
(中略)
商品やサービスを提供してそれをお客様が買ってくれている結果が売上高ですから、売り上げをこれまで以上に上げること、つまり、より良い商品やサービスをこれまで以上に提供して、お客様や社会に貢献することに信念を持たなければなりません。
利益は、①企業の延命、②未来投資、③従業員の福利工場、④株主還元、⑤社会還元(税)の手段です。
(中略)
そう考えると、ある意味、利益は自社や社会を良くするためのコストなのです。
(中略)
だから、適正な利益を出すことにも信念を持たなければならないのです。
扱っているテーマも、「外資ファンドに狙われるのはどういう企業か」「なぜ国の財政は破綻しないのか」など面白いものが多い。
お勧めの一冊だ。
「1秒!」で財務諸表を読む方法―仕事に使える会計知識が身につく本 | |
小宮 一慶
東洋経済新報社 2008-01-25 おすすめ平均 |