人はえてして変化することを嫌う。
変わらなくても済む理由を見つけるのは得意だが、変わるための方法を見つけるのは苦手である。
私の周りにもそういう人はいる。
格差社会に不安を覚えるならば、後々困らないように自分を変える努力をすればいいだけなのに、「とりあえずこのままでも生きていけるなら・・・」と安定を求め、現状維持を選択する。
そういう人に限って「弱者に弱い政治だ」とか、「格差をなくし平等な社会を作るべきだ」などと、自分は何もしないくせに国に文句を言う。
でも、最終的には国が何とかしてくれるだろうと考える。
こういう人と話していると思う、「じゃあお前が何かやれよ」。
さて、堀紘一さんの著書、「「真のリーダー」になる条件 初めて部下をもつ人へ」を読んだ。
なぜ今優れたリーダーが求められるのか、そして優れたリーダーには何が求められるのかに興味のある人に、本書はお勧めだ。
著者は、我々に対して「リーダーを目指せ」と言う。
なぜならば、日本の企業は近年確実に変わりつつあり、古いタイプのリーダーではなく、新しいタイプのリーダーが活躍するための舞台が、確実に整いつつあるからだ。
今の日本は、まだまだ旧態依然とした人事制度がはこびっている。
それは何かと言えば、「民主主義への誤った理解」による不公平な評価制度である。
民主主義の原理は、個人と個人が競争しあうことで組織を活性化させ、組織と組織が競い合うことで社会全体を活性化させることにある。
そこで保障されるべきは、誰でも自由に競争に参加できる「機会の平等」である。
しかし日本は、「機会の平等」ではなく「結果の平等」を導入し、今なおそれを続けている。
しかし、この状態は確実に変わると著者は言う。
規制緩和と国際化の波にさらされるこれからの企業は、社内にどれだけリーダーシップの資質を備えた人間がいるかどうかで、大きな競争力の差が生まれる。その結果、リーダーシップのある人材に対するニーズが高まり、成果に見合った給料になっていくはずだ。
今何かと「格差社会」という言葉を聞くが、著者はこれからはより二極化が進むと考えている。
それは、「優秀なリーダー」と「そうでないもの」による二極化だ。
著者の感覚ではそれは、年収に換算すれば3倍の開きは出来るはずだと言う。
しかしこれは当然だと私は思う。
例えば欧州サッカークラブでは、優秀な監督は引っ張りだこ状態だ。
先日もジョゼ・モウリーニョ監督が年俸約15億円でインテルと契約したと報道された。
しかし、彼は監督であって、フィールドに出てゴールを奪うわけではない。
にもかかわらずクラブは15億支払うだけの価値が彼の仕事にはあると踏んだのだ。
優勝するためにはいかに優秀なリーダーが必要を思い知らされる。
以下、自分用のメモ
●リーダーに求められる最も重要な役割は、組織の目的を明確に示し、メンバー一人ひとりをその目的に向かわせることだ
●ミス・コミュニケーションが起こるのは、上司と部下では経験や情報量に差があるから当然
●言葉で伝えきれないことは、「気付かせる」
●上司の目にはっきりと間違いだと映るものも、部下にはそうは映らないことがある。自分の価値観や思考パターンに従った結果なので、それを間違いだと認めるのは難しいからだ。そういう人には質問によって答えに導くのがいい。
●「夢を語る」、そして、それを現実的なものにするために中長期の目標に落とし込み、達成できると信じさせる
「真のリーダー」になる条件 初めて部下をもつ人へ (PHPビジネス新書 54) | |
堀 紘一
PHP研究所 2008-04-19 おすすめ平均 |