ウジ トモコさんの著書、「視覚マーケティングのススメ」を読んだ。
iPodの誕生でデザインが注目を集めているが、「デザインの本質が知りたい」「基本的なデザインテクニックが知りたい」という人には本書をお勧めする。
iPodの成功によって勘違いする人が多いのだが、iPodは外見のデザインが優れていたから成功したわけではない。
そもそもデザインには、
●道具としてのデザイン
●存在としてのデザイン
という2つの評価軸がある。
道具としてのデザインを追及した商品には「使いやすさ」があり、存在としてのデザインを追及した商品には「見た目の美しさ」がある。
ここで例えば見た目ではなく使いやすさを追求した商品を作った場合、視覚的に消費者に訴える事は期待出来ない。
逆に、使いやすさをおろそかにして外見の美しさだけを追求しても、見た目はいいけど使い物にならないと言う本末転倒な商品が生み出される。
いくらiPodの見た目が美しくても、肝心の音楽再生機能が使いづらかったらほとんどの人が購入をためらうだろう。
Appleに徹底した顧客思考があるのは有名だが、「使いやすさ」を徹底追求し、その上で外見の美しさも極めたからこそ、iPodは大成功を収めたのだ。
※詳しくは4月23日の日記「iPodは何を変えたのか? 後編」(http://d.hatena.ne.jp/lemoned-icecream/20080423/1208933135)
ここで重要なのは、技術とデザインの共存である。
Appleでは製品の開発段階から、デザイナーがそこに加わってデザインを手がけている。
それはなぜか。
例えば商品開発のときに、エンジニアが試作品を作り、その試作品に対してクリエイターがデザインをする。それではクリエイターができることはせいぜい素材や色を考えることぐらいです。これではダメなのです。エンジニアが試作品のことを考える段階から、クリエイターと共にデザインをしていくということが必要です。
以下、自分用のメモ
●デザインを導入するとは、マーケティングをすること
●ビジュアルアイデンティティとは、企業理念や活動理念を一目で分かるように視覚化したキャラクターやマーク
●人はデザインを、好き・嫌いといった「タイプ」や高級感や安っぽさなどの「クラス」で感じる
●ブランディングされているから、アドバタイジングもプロモーションも生きる
●「つかむ」デザインと「引く」デザイン
●レイアウトは、見やすくするために行う。目に見える順番と情報の優劣を一致させ、内容を理解してもらうために視点を誘導する
●デザインとは装飾ではなく、意図や意匠であり配置や設計である
●コピーとデザインはかぶらないのが基本
視覚マーケティングのススメ (アスカビジネス) | |
ウジ トモコ
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