ジョン・ネスビッツさんの著書、「マインドセット ものを考える力」を読んだ。
いよいよ不確定で非連続の時代を迎えた今、私たちは様々な知識に加えて「時代のうねり」を読む力が必要になった。
会社依存の時代は、世の中の先行きを予測せずとも、会社は成長し、自分の給料も上がり、経済は発展した。
しかし、今や会社の寿命は30年、それに対し労働寿命は50年と言われており、会社に依存するのはもはや不可能で、個人のサバイバルの時代になっていくだろう。
つまり、誰もが自らのキャリアを自らの責任の下考え、構築していかなければならない時代、ドラッカーの言葉を借りれば、誰もが自らをマネジメントするエグゼクティブにならなければならない時代がやってきたのだ。
そして、そのためには「時代のうねり」を読まなければならない。
本書は「時代のうねり」を読むマインドセット、つまり考え方について書かれている。
ものの考え方は、雨(情報)の降る土地であり、私たちそれぞれが持つものの考え方によって違った結論につながる。
個人が膨大な情報に取り囲まれている今、その情報を適切に処理するための「ものの考え方」が必要なのだ。
著者は未来を予測する際、以下の11のマインドセットが特に重要だと言う。
●変わらないもののほうが多い
●未来は現在に組み込まれている
●ゲームのスコアに注目せよ
●正しくある必要はないということを理解せよ
●未来はジグソーパズルだ
●パレードの先を行きすぎるな
●変わるか否かは利益次第である
●物事は、常に予想より遅く起きる
●結果を得るには、問題解決よりもチャンスを生かすべし
●足し算は引き算の後で
●テクノロジーの生態を考える
そして、それらを元に著者が描いた5つの未来図が紹介されているが、ここでは特に共感した1つを紹介したい。
世界の経済を知るには、国ではなく、経済圏に着目しなければならない。
そして、世界市場で今後何がますます重要になるかというと、人材の世界規模での共有と、ビジネスの分権化である。
ITの導入により管理を分散化し、情報の鎖を通じて個人の貢献度を高め、一人一人の能力をより活用できるようになった今、小さくフットワークの軽い企業が官僚的な大企業を打ち負かすのは確実だ。
そしてインターネットの発展により、様々なレベル、様々なスキルを持つ人材を世界中から見つけ、活用できるようになった今、労働者の持つ地理的・物理的距離の制限は大幅に解消された。
これからは世界規模で企業が能力のある人材を選び、また、能力のある人材が企業を選ぶ、アウトソーシングの時代になる。
特に今後就職する学生等は、この視点をしっかり持つ必要があるのではないか。
マインドセット ものを考える力 | |
本田 直之 門田 美鈴
ダイヤモンド社 2008-05-16 おすすめ平均 |