マーク富岡さんの著書、「3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術」を読んだ。
本書を読んで交渉の本質とは、お互いが自分の主張をいかに相手にのませるかを競うゲームではなく、お互いの主張を確認したうえで、双方にとって有益となるような妥協点を探り、気持ちよく合意を交わすことだと感じた。
しかし、交渉の場ですぐに「YES」を引き出せるかと言うと、そうでもない。
すんなりYESと言わない理由には、3つあるようだ。
①最初にYESと言えるほど素直になれない。
②YESと言ったら軽く見られてしまうと心配。
③YESと答える理由づけが必要。
交渉とは双方の利益を追求することだが、折り合いが必要なことは両社とも理解している。つまり、どこかで妥協してYESを言わなければならないと、相手も覚悟しているのだ。
そこで肝心なのは、どう妥協させるか―相手がYESと言える理由を、どうやってこちらが提示してあげるかになる。
この「相手にYESと言わせる技術」を中心に、本書では世界76カ国でビジネスパーソンと渡り合ってきた著者の交渉術が紹介されている。
実践的ですぐに応用できそうなものが多いのが非常に良かった。
以下、私用メモ
●まず相手に好かれる
●ホワイトボードのそばに座ってナビゲーターとなり、立ち上がって書くことで「先生目線」を使う
●開始時間に遅れることも、終了時間を決めないことも、時間にコミットしない低レベルなビジネススタイル。時間配分も交渉の大切なポイントであり、交渉が不利になったときに相手に逃げられる事態を回避することもできる
●できる限り分かりやすく整理して話すためには、「自分の意見」と「事実」とを完全に切り離して説明すること。トリックを使わないと言う誠実さもアピールできる。
●交渉に勝つには、常に有利な場所を選ぶこと。
●モノ、服装で一目置かれるなら、投資を惜しむべきでない
●わからないことは「わからない」と言う
●あらゆる意見に聞く耳を持つ
●洗練された強い交渉スタイルは、それだけで説得力がある
●交渉はお互いの条件のすりあわせであり、自分の意見を言った後には相手の意見を聞くのがルール
●交渉に入る前に、「交渉の目的と最終ゴール」を紙に書いて明確にしておく
●交渉は準備が8割
●譲れない点は絶対に譲ってはいけない
●単刀直入を意識し、全体の流れを変えるような主張は最後までとっておかず、すぐに言うこと
●追い詰められたら即答せず、あとで確認して伝えるといったん打ち切る
●相手に満足感を与える「交渉の幅」
●最大限のホスピタリティを相手に与える
3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術 | |
マーク富岡
サンマーク出版 2008-06-17 おすすめ平均 |