松田公太さんの著書、「仕事は5年でやめなさい。」を読んだ。
いわば自分のそれまで5年間のやり方を変え、考え方を変え、バージョンアップしながら5年単位で成長し、本当の実力をつけていく。
私の言いたい「仕事は5年でやめなさい」とはそういう意味です。
タイトルの「仕事を5年でやめる」とは、具体的な期限を設定して目標に取り組むことで成長を加速させ、密度を濃くすることの大切さを言い表している。
本書の隅々から伝わってくる、著者の「真剣に生きなければならない」という覚悟が、私には深く共感できた。
漠然と「こうしたいな」と考えていると時間は無限にあるものに感じてしまい、いつか達成できればいいやと具体的な行動を取らずに時間だけが過ぎてしまう。
しかし、現実に考えてみると、自分が持つ時間がいかに有限かを思い知らされる。
例えば人が一つの目標を達成するスパンを5年間とし、60歳まで働くと仮定すると、今私は22歳だからそのサイクルは7回しか回すことが出来ない。
たった7回だ。
何か大きな夢を実現させようと思ったら、そのうちの1回たりとも無駄にはできない。
1本の矢が目指す「的」、一生をかけて目指す場所、たどり着きたいと願う場所。それが「目的」なのです。
一方、目標は、思い描く場所を目指すために、ひとつひとつ通り過ぎる場所。いわば、「道標」です。
著者には、「食を通じて文化の架け橋になる」という目的がある。
一方、世の中には目的がなくて困っている、という人もいる。
そういう人は、是非本書を読んでほしい。
それをひとりの人間に置き換えて言うなら、これまでに受けた強烈な体験、悔しかったり悲しかったりした経験の中にこそ、その人の人生の目的の目があるということです。
著者にとって自身の目的を見出すきっかけは、アメリカに住んでいたときに日本の食文化をさげすまれたことだった。
そのときの悔しさを隠さず、掘り下げていった先に、自身の大きな目的があったのだ。
そして、それを自分だけの問題とせずに、同じ境遇にいる人や、身近な人にあてはめてみる。
「これをすることで何人の人が幸せになるだろう」
こんな言葉をときどき唱えてみれば、それは魔法の言葉のように将来の扉を大きく開けてくれるのです。
そして、その決意を固めてくれたのは、21歳の若さで心臓病で亡くなった著者の弟の存在であったという。
チャレンジして失敗するのはまだいい。少なくとも自分は挑戦した、という気持ちは残る。
けれど挑戦しない、できないままに死んでいくのは嫌だと、それこそ心のそこから思ったのです。挑戦しないままに生涯を終えるのは、挑戦して失敗するよりずっと怖い。そう思うと手足が震えるようでした。
あれもやりたい、これもやりたい、そのすべてが奪われてしまった弟の命の分まで、俺は太く生きる。そして自分が50歳以上まで生き延びることができたら、そのあとは子どもや病人、貧しい国の人々のためにできることをしたい。
強烈な体験は、それが悲しみであっても、ある大きなものに向かう目的を定めてくれます。
チャレンジして失敗するのはもちろん怖い。
やりたいことができるほど世の中は甘くないと教えられたかもしれない。
しかし、時間は有限なのだ。
「明日もし自分が死ぬとしたら」
そう考えたときに、チャレンジして失敗すること、世間の常識からはみだすこと、人と違う道をあえて選ぶことを恐れる必要はなくなる。
そして、自分の信念を貫く勇気と自身を持つことができる。
目的がないという人は、まずは今に真剣になるべきだと私は思う。
真剣さなくして、目的につながる気付きや成長は得られないと思うからだ。
自給で働いている場合、その給料に見合うだけの労働をすればいい。多くの人はこう思っているかもしれません。そのあいだにあまり客が来なければ「ラッキー」と喜び、忙しければ「割を食っている、損をしている」と不満に思う。けれどそれは逆なのです。
仕事をこなせばこなすほど、その仕事で学ぶものは多いのです。人との接し方から、その人が何を望んでいるかに気づく。どうしたら喜んでもらえるかという工夫をこらしたり、自分に足りないものに気づいたり、そこで学ぶものは、まさにお金で買えない価値があります。
どんなことでも、真剣に向き合った経験、感覚は身体の中に残っています。
その時間に注ぎ込んだ自分のエネルギーは、時間給以上の得となって、自分に戻ってくるのです。
以下、私用メモ
●失敗したときの最悪の状況をイメージしておけば、不安が小さくなる。闇雲に怖がっていたことがはっきりイメージされることで、このくらいのことだったのかと思える。
●情熱を持つためには、マイナー意識をもて
●前日より少しでも上を目指していない人は、確実に衰退が始まっている。現状維持という言葉は、非常に危険な言葉と肝に銘じる。どんな小さな負荷であっても自分にかけ続けること。
仕事は5年でやめなさい。 | |
松田 公太
サンマーク出版 2008-05-23 おすすめ平均 |