夏川賀央さんの著書、「なぜ、仕事ができる人は「効率」を無視するのか?―逆転発想の時間術」を読んだ。
どこを見るかによって、「効率的である」ということと、「非効率的である」ということは大きく変わってくる。
目先の効率ばかりに目を向けていると、長期的には実に非効率的なことをしていることは良くあると思う。
例えば最近では速読が注目されているが、あらかじめ目的を定めて、そこに絞って必要な部分を取捨選択して読めば、確かに目先の目的を達成する上では効率がいい。
しかしそれは、目的を絞る上で「イメージしていなかった要素」までも取り除いてしまうことになり、もしそのイメージしていなかった要素に予想だにしなかった偶然の出逢いや発見があっても、それをスルーしてしまうことになる。
「イメージしていなかった要素」にこそ自分の知らない世界があるかもしれないのに、それを捨てるとはつまり、自分の幅や視野を広げる機会を捨てて、今の枠の中にとどまることを選択したのと同じなのだ。
仕事でも例えば、積み重なっていく目先の仕事に没頭するあまり、ぼーっと何かについて考えるような、思考をめぐらす時間が無駄として排除されていることってないだろうか。
しかし、「この仕事を劇的に効率化するような、ブレイク・スルーってないだろうか」と何もせずただ考えることが、もしかしたら仕事そのものの効率化をもたらすアイディアにつながるかもしれない。
目先の効率化ばかりを求めてこういう一見無駄な時間を排除していると、今のルーティーンから抜け出せなくなり、その上の発展やイノベーションは期待できない。
無駄の中に含まれるあらゆる可能性に目をそむけてしまうのは、あまりにもったいなくないだろうか。
むしろ”非効率な行動をどれだけ効率的にやるか”のほうが、ずっと重要なのではないか―ということなのです。
自己投資として、セミナーに行ったり、本を読んだりする。
ルーティーンワークは出来るだけ効率化しつつも、それによって捻出した時間で「考える時間」を確保して、新しいアイディアや発想を練ってみる。
今すぐ成果はでないかもしれないが、長期的に見れば自分にとって大きなリターンとなるような、そういう活動をどれだけ上手に取り入れられるかが、本当は重要なのだと思う。
むしろ、そういう「緊急ではないけど優先度の高い時間」こそが大事だと思うので、あらかじめその時間を天引きするくらいでちょうどよさそうだ。
「予期しなかった偶然の出逢い」=「セレンディピティ」の感度を高めたい人は、是非本書を読んでみてください。
泉正人さんの「最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術」とあわせて読むと、効果的だと思います。
なぜ、仕事ができる人は「効率」を無視するのか?―逆転発想の時間術 | |
夏川 賀央
アスペクト 2008-05 おすすめ平均 |
2 Comments
>「緊急ではないけど優先度の高い時間」こそが大事だと思うので、あらかじめその時間を天引きするくらいでちょうどよさそうだ。
私も朝会社に着くと、一日のTo do Listを作りますが、決まった時間に考える時間を入れるようにしています。
効率性とかを考えていくと脳の機能とかにも興味が広がっていくんですよね~。
人は寝ている間にインプットした情報を整理するらしいので、読書した内容について考察する時も一晩寝かせた方が良いらしいですよ(^_-)
出典は忘れてしまいましたが…(^^;
BJさん
>私も朝会社に着くと、一日のTo do Listを作りますが、決まった時間に考える時間を入れるようにしています。
考える時間、大切ですよね。
私は内省型で、一人で物思いにふける時間がないと、
調子が悪くなります(^^;
>人は寝ている間にインプットした情報を整理するらしいので、読書した内容について考察する時も一晩寝かせた方が良いらしいですよ(^_-)
寝ている時間に脳が情報を整理する、というのは
私も聞いたことがあります。
英単語を寝る前に暗記するようにしてみたのですが、
たしかに、定着率はあがっていると思いますね。
ただ、寝る前に本を読むと意識がさえて眠れなく
なってしまいます^^;