ジェフリー・L・クルークシャンクの著書、「ジョブズはなぜ天才集団を作れたか」を読んだ。
本書を読むなら、
「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」を読んだほうがいいと思います。
本書はアップル社のこれまでの成功と失敗の歴史に目を向け、それらを12のエピソードに分解し、それぞれから学び取れる経営の教訓を導き出そうとしたものです。
本書で扱われている情報量そのものは多いのですが(300ページ以上)、どれも表に出ているような内容ばかりで、裏側まで鋭く迫ったものではありません。
また、章末で行われる分析も「アップル社は○○をして成功した、よってこういった場面では○○をすることが教訓である」という結果論に過ぎず、なんら深く掘り下げた形跡のないものです。
教訓を学び取ってアウトプットに生かせるような内容ではないでしょう。
であるならばもはやアップルの成功と失敗の歴史を楽しむ読み物として読むしかありません。
しかしそれであれば、膨大なインタビューから得られた情報を元に、ジョブズの破天荒な性格やアップルの企業としての文化までを目に浮かんでくるかのようにありありと描いた「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」のほうが断然面白いです。
よって、本書はあまりお勧めしません。
ただ、一つ面白かったのは、ジョブズが技術革新にとって風土が大切なのだと語っている場面です。
集積回路も、マイクロプロセッサも、半導体メモリも、今使われているみたいなハード・ドライブも、(中略)全部の発明がこの湾岸地区で起こったことなんだ。信じられないだろう?
世界中から優秀な人材が集まるシリコンバレー周辺では、天才たちが一箇所に集まって衝突したり仲良くなったりしており、その風土が様々な技術革新を生み出すのに一役買っている、というジョブズの一説ですが、そういえば日本にはシリコンバレーのように天才たちが集まる地域がないのではないでしょうか。
GoogleやYahoo、Amazonのような企業がなかなか出てこない日本ですが、そういった企業が出てくる風土がそもそもないのが大きな原因の一つではないかと思います。
少子高齢化、年金問題などいろいろ問題を政府は抱えていますが、政府が出来ないならば、企業が主導でやってしまえばいいわけです。
Stay hungry, stay foolish.
また一つ、やりたいことが見つかった気分です。
ジョブズはなぜ天才集団を作れたか (講談社BIZ) | |
徳川 家広
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