アラン・R・コーエンさん、デビット・L・ブラッドフォードさんの共著、「影響力の法則―現代組織を生き抜くバイブル」を読んだ。
言い換えると、相手と信頼関係を築き、双方にとって良い結果がもたらされるように仕事をする人が、人を動かせると言える。目的のために手段を選ばないのであれば、当面はうまくいっても、次第に敵ができ、自分の力を発揮できなくなってしまう。
本書はいかに人を動かし、自分の望むものを相手から引き出すかについての原理原則をまとめたものです。
権力を用いないその手法は、組織のフラット化が進行している現代において、人々を巻き込んで事を成す上で、非常に有効なものだと思います。
本書では影響力を、「価値の交換」と定義づけています。
つまり、こちらの求めるものを手に入れるために、相手側が価値を感じる何かを提供するのです。
例えばビジョンを語ることで相手に気持ちの高揚や意欲を与えたり、プロジェクトに協力してもらうことで相手に成長の機会を与えたりと、自分が望むものを相手から引き出す上で、逆に自分が相手に与えられるものは実は多く存在します。
重要なのは何に価値を感じるかは人それぞれで、自分が価値を感じるものではなく、あくまで相手が価値があると感じるものを提供することです。
相手にとって価値のあるものを提供できるかどうかで、人を動かせるかどうかが決まってしまう。
となると、日頃から注意深く相手の興味や関心を把握しておくと同時に、自分が相手に提供できるリソースの種類も増やしておくことが重要になります。
人とアライアンスを組むときは、自分が相手になにを提供できるのかが鍵になる。
これは「1の力を10倍にする アライアンス仕事術」にて平野敦士カールさんが述べていたことですが、根本の部分で本書の主張と合致します。
人を動かす、人を巻き込む、どちらにおいても本質的には、自分が相手に何を与えられるかで決まるというのは、普遍なのかなと感じます。
以下、私用メモ
自分が相手から何を求めているのかを明確にしておくこと。自分の個人的な欲望と、仕事上の要請を混同すると、一番重要なものを逃すことになる。
有効なカレンシー
1.気持ちの高揚や意欲を喚起するもの―ビジョン、道徳的正しさ
2.仕事そのものに役立つもの―チャレンジ、成長の機会、情報
3.立場に関するもの―承認、評判、接点
4.人間関係に関するもの―理解、受容、一体感
5.個人的なもの―感謝、当事者意識、安楽さ
影響力の法則―現代組織を生き抜くバイブル | |
高嶋 薫 高嶋 成豪
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