佐々木俊尚さんの著書、「ブログ論壇の誕生」を読んだ。
インターネットの世界に出現した巨大なブログ論壇。その新しい言論は、古い言論を支配していた団塊世代と激しく対立し超克しようとしている。新たな公共圏生成のインパクトをレポート。
と表紙裏にあるように、本書はあくまでブログという新たな論壇の実態をレポートしたものです。
ブログの発言力や影響力が注目されだしたのは何も今に始まったことではありません。
しかし特に団塊の世代を中心に、いまだこのネット空間に誕生した「言論の波」についていけていない人は多いようです。
マスメディアを支配する団塊世代と、そこから除外された若者たちの集まるネット空間の対立という構造は面白いですし、誰にも編集されず、コントロールされず、フィルタリングもされないネット空間に表出している「若者たちの絶望と激怒」の様子は読み応えがあります。
この新しい言論の波が今後どのようにマスコミや政治に影響を及ぼすのかまではあまり触れていませんが、現在起こっている現象を理解するには有用な一冊だと思います。
上記にもありますが、誰にも編集されず、コントロールもされず、フィルタリングもされないネット空間だからこそ、マスコミが取り扱わないような「生々しい現実」がしばしば表れているのを感じ、今日本が抱えている問題に対する認識が少し変わりました。
「ネット犯罪」や「ネットいじめ」といった表面的な現象にとらわれず、その本質に迫れる一冊ですね。
ブログ論壇の誕生 (文春新書) | |
佐々木 俊尚
文藝春秋 2008-09 おすすめ平均 |