フィリップ・マグローの「史上最強の人生戦略マニュアル」を読んだ。
本書の主張は、全ての責任を引き受けることで私たちは自分の人生のコントロールを得ることが出来る、と言うことではないかと思います。
自分は正しいはずなのに、不当な扱いを受けていると感じることは、私たちによくあることだと思います。
そして多くの人は「自分は正しいのだから問題はそのうち解決するだろう」と、 自分自身で対処しようとせず、責任を外部に求め、不当なことはいつか誰かが正すはずだと決め付けて、問題は勝手に解決すると自分をダマしています。
「正しい」という基準に縛られている限り、問題は解決しないと私は思います。
もちろん自分が正しいと信じることをすることは重要ですが、忘れてはならないのは他の大勢の人たちも自分と同様に、自分自身の言動を正しいと信じていると言うことです。
人それぞれ感じる「正しさ」は違うのですから、「正しさ」で対立や問題を片付けようとする限り、争いはなくならないと思います。
宗教戦争などはいい例ではないでしょうか。
本書では、「正しい」かどうかではなく、それでうまくいっているかどうかで判断することが重要であると述べられています。
正しい、正しくないに関わらず、今やっているやり方でうまく行っていないのであれば、別の方法を取らなければならないのです。
それはつまり、結果の原因を自分自身に求め、自分のやり方を変える=自分を変えることで、現実を自分の力でコントロールすることに他なりません。
ときには、自分の責任ではないのに不当な扱いを受けることもあります。
本書で紹介されているエピソードにも、幼い頃に性的虐待を受けたり、子供を早くに失ったりと、決して本人に落ち度があったわけではないにも関わらず、こうした不当な扱いを受けた事例が多くあります。
忘れてはならないのは、こうした扱いを受けたこと自体に責任はなくても、その扱いに対してどのような影響を受け、どう反応するかを決める権利は私たちが持っているということです。
本書は、このように自分自身の人生のコントロールを握り、望むものを手に入れ、豊かに生きるための「ルール」が示されています。
●ものがわかっているか、いないか
・世の中の仕組みを本当に理解すれば、知識と力を兼ね備えた人間になれる
・質の高い人生を作り出すのに必要な技能は、人生の因果関係を理解し、コントロールする技能
・何か新しいことを学ぶ上でもっとも難しいのが、一度覚えてしまった古いやり方を忘れること
・相手を動かしているものが何であるかを知らなければならない
1.すべての人がいちばん恐れるのは、「拒絶」されることである
2.すべての人がいちばん必要としているのは、「受け入れられる」ことである
3.人を動かすには、相手の自尊心を傷つけない、もしくは、くすぐるようなやり方をとならければならない
4.人は皆、-例外なしに-どんな状況にさしかかっても、「自分はどうなるのだろう?」という不安を、少なくともある程度は抱く
5.人は、自分が理解できることだけに耳を傾け、自分の中に取り入れる
6.人は、自分に好意を持っている人を好み、信じて頼る
7.人はしばしば、はっきりとした理由もなく行動する
8.上流階級の人の中にも、料簡の狭いつまらない人間がいる
9.すべての人には-例外なしに-「外面」がある。あなたはその仮面の向こうにあるものを見なくてはならない。
・人々の行動と行動の理由に注意を払う
・あなたが影響力を及ぼし、コントロールする必要があるいちばんの相手は、あなただ
●人生の責任は自分にある
・あなたは常に自分の人生の結果を作り出している
・人生の何らかの時点で怒りを覚えたり、傷ついたり、どんなかたちであれ動揺し、そうした感情をいまだにひきずっているとすれば、それはあなたの責任だ
・あなたは犠牲者ではない
●人はうまくいくことをする
・望ましくない行為でも、何らかの見返りを得ている限りそれは続く
・見返りを断ち切らない限り、行動をやめることはできない
・なにもしないということは、変化に対する不安を封じ込めることで安心と言う見返りを得ていることであり、自分を騙しているに過ぎない
●自分が認めていないことは変えられない
・自分に事実をありのままに伝えないのは、事実をねじ曲げて伝えるのと同じくらい危険
・難しい質問を自分にぶつけ、現実的な答を出せるだけの勇気と力を持たなければならない
・問題をあなたが認めない限り、それは悪化していく
●事実なんてない。あるのは認識だけ
・人生に何が起きようと、その出来事をどう解釈するかは自分次第
●人生は管理するもの。癒すものではない
・問題を我慢するのではなく、解決する方向に力を注ぐ
・自分が持たないものは、与えることは出来ない
・感情にピリオドを打つ
・約束は守る
●許しには力がある
・憎しみはあなたの心を変えてしまう
・傷つけられることよりも悪いのは、傷を引きずること
本書を読んで私は、自分の望むものを手に入れるためには、現実を怖いくらいに真摯に見つめ、すべての問題に対して自分で取り組んでいかなければならないのだと痛感しました。
責任が増えるのは負担にもなりますが、逆に自分が影響を及ぼせる範囲が広がるということでもあります。
現実に対しては怖いくらいにリアリスティックになりつつも、未来はポジティブに描いていきたいと思います。
翻訳を担当した勝間和代さんが「間違いなく最も影響を受けた本の一つ」とおっしゃるのも納得です。
非常にお勧めなので、是非読んでみてください。
史上最強の人生戦略マニュアル | |
勝間和代
きこ書房 2008-09-27 おすすめ平均 |