仕事はストーリーで動かそう | |
川上徹也
クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 2008-11-12 おすすめ平均 |
川上徹也さんの「仕事はストーリーで動かそう」を読んだ。
ビジネスの現場にいる方だと納得していただけると思うのですが、人は論理=ロジックやデータだけでは動かないものです。むしろ感情で動くことの方が多いくらいですよね。
ストーリーには人の心を動かす力があるのです。
本書はこの「ストーリーで人を動かす技術」について、非常に分かりやすくまとめています。
人はいつも理性に従って行動しているわけではありません。
私も本を薦めるときや、読書の良さを相手に伝えたいときなどにこのことを痛感するのですが、ただ論理的に本を読むことの効用を語った場合と、その本を読むことによって得られる未来のストーリーを生き生きと描いて見せた場合とでは、相手に与える影響力が全く違うのです。
ロジックだけでは動かなかった相手の感情が、自分が描いてみせたストーリーに共感すると、大きく動いてしまう。
この「ストーリーで人を動かす技術」、様々な場面でかなり強力な武器となります。
例えば営業の際、ただ商品の良さを売り込むよりも、その商品を購入することによって得られるメリットを示した未来のストーリーを語ったほうが、相手の感情をより強烈に動かすことができます。
このとき、顧客は機能の高い商品を求めているのではなく、その商品を購入することによって得られる「未来」を購入しているのです。
また、困難にめげず、高い志を実現しようとがんばる人に、人は心を動かされるものです。
自信のミッションを掲げて、その実現に向けて取り組んでいる自分の姿をストーリーにしてしまえば、それだけで強力な個人ブランド、「ストーリーブランディング」ができてしまいます。
そして何より、ストーリーは人の感情だけでなく、行動をも変える力を持っています。
「ミッション」に向けて走り出し、それを実現する過程や、実現したときに、会社はどうなっているのか、社員はどんな未来を手にしているのか、世の中がどう変化しているのか、それを語ったものこそが「ビジョン」なのです。
たとえ今がうまくいっていなくても、信じられるビジョンを語ることのできる経営者に人はついて行こうと思います。社員や従業員もそれを現実にさせたいと思うようになります。自分たちひとり一人が何をすべきか考えるようになります。
周囲を巻き込み、一人では実現できないようなミッションをチームの力で実現させてしまう「ビジョン」は、まさに究極のストーリーと言えます。
実は本書、著者の川上さんから献本していただきました。
献本していただいたとはいえ、ここは私が感じたことを素直に書くブログなので、思ってもいないことを書くつもりはありません。
また、川上さんからも「面白くなければ取り上げなくても、厳しく斬っても構わない」と言っていただいています。
その上で言いますが、本書は非常にお勧めです。
特に、自身のミッションをようやく見つけた私にとって、本書は「まさにこんな本が読みたかった」と言える一冊でした(189ページ中、線を引いたページが40ページ以上ありました)。
未来のストーリーで周囲を巻き込み、一人では到底実現できないこのミッションを果たしていく、そんな個人に私はなろうと思います。
●なぜストーリーなのか
●どうすれば人の心を動かすストーリーが作れるのか
●どんな場面でストーリーを活用できるのか
といったことがこれでもかというくらい、分かりやすく解説されています。
特に未来のリーダーにとっては必須のスキルなのではないでしょうか。
是非読んで、ストーリーを語る力を身につけてください。
なお、著者の川上さんが以下のブログで、本書が30万部のベストセラーとなることを目指すプロモーションの様子を公開しています。
「クチコミシート」など、面白いアイデアが紹介されているので、将来出版しようという方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?
「仕事はストーリーで動かそう」が、30万部のベストセラーになっていくストーリー
以下、私用メモ
● ストーリーはあくまで手段
・エンターテイメントではストーリーは目的になる
・仕事ではストーリーは手段に過ぎない
・短く、シンプルで、分かりやすいのが良い
・商品の実力以上のものを伝えることはできない
・ポテンシャルを引き出すのがあくまで目的
● ストーリーのメリット
・差別化できる→オンリーワンになれる
・感情移入できる→人・商品・企業のファンになる
・イメージを共有できる→行動にかりたてられる
・人に伝えたくなる→クチコミが広がる
・伝説になる→ストーリーが一人歩きする
● ストーリーの黄金率
・何かが欠落している、もしくは欠落させられた主人公
・主人公が何としてもやり遂げようとする遠く険しい目標・ゴール
・乗り越えなければならない数多くの葛藤・障害・敵対するもの
● 営業ストーリー
・顧客はあなたや企業や商品に興味がない
・顧客を主人公にし、顧客が大きなメリットを得られるようなストーリーを描く
・「得意先に何が欠落しているかを見つける」ことが最大のポイント
● ストーリーブランディング
・まず自分の「ミッション」を見つけることから始まる
・ミッションを達成するための頑張る自分の姿をストーリーにする
・自分のストーリーを人に語る
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川上徹也
クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 2008-11-12 おすすめ平均 |