非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門 (ディスカヴァー携書) | |
飯間 浩明
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-12-20 おすすめ平均 |
飯間浩明さんの『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』を読みました。
「自分の考えたことを文章にして、読者に間違いなく伝えるには、どうすればいいか?」
(中略)
「そのためには、クイズ文という、『問題・結論・理由』という形式に従った文章を書けばいい。なぜなら、この形式は、読者と一つの問題意識を共有し、かつ、読者を一つの結論に導くためのものだからだ。」
この「クイズ文」という書き方、私は非常にオススメしたいと思います。
非論理的な人でもこの本を読み込めば、確かに論理的な文章が書けてしまいます。
「クイズ文」と対を成すものとして「日記文」が本書に挙げられているのですが、両者の何が異なるかというと、「クイズ文」には主観が入らないのです。
日記文は大きく分けると事実と感想からなります。
そしてこの感想の部分は主に主観から成り立っています。
例えば一冊の本を人にオススメするときに、「この本は面白かったから、オススメだよ!」というのは主観です。
「あなたには面白かっただろうけど、だからといっても私にも面白いかどうかはわからないよね…」といわれたらもうそれでおしまいです。
ここで注目してほしいのは、後者の意見が前者の意見に対する反論になっていない点です。
「面白いかどうかわからないよね」と言っているだけで、その本が面白いかどうかについての是非については全く議論していないのです。
これを例えばブログでやったとなると、どうなるでしょうか。
「今日はこの本を読みましたが、ここが面白かったです。」
「今日読んだこの本の、ここを取り入れたいと思いました。」
この程度の主観的な感想しか書いていないのであれば、何故面白かったのか、何故取り入れようと思ったのかが読者はわからないですし、それゆえに反論したりフィードバックしたりすることもできません。
「この人が面白いと言うならば自分も読んでみよう!」と思わせるくらいの人であればいいかもしれませんが、そうでないならば読者があなたのブログを読んでくれることで、あなたが得られる価値って何でしょうか?
これを読書会や勉強会でやったとなると、どうでしょうか。
もはや何かを深めて心理を追及していくような議論にはなりません。
感想を言い合って終わりなのであれば、せっかく複数人で集まっているのに相乗効果が全く生まれず、意味がありません。
そしてこれを読書でやると、どうなるでしょうか。
「勝間さんが言うから、簿記を勉強しよう!」「勝間さんが言うから、Let’sノートを買おう!」、これではほとんど意味がありません。
「勝間さんが言うから…」程度の浅い動機付けでは勉強など続きませんし、ノートパソコンもおもちゃになっておしまいです。
「いろいろな成功法則本を読んだけど、それぞれ言っていることが違うぞ。どれを実践するのが正しいのかこれではわからない??」、こういう人がいるのかどうかはわかりませんが、世の中に誰でも成功する法則があって、それが本に書いてあるのであれば、世の中は既に成功者であふれているはずだという現実に気づいてください。
「何故簿記なのか」「何故ノートパソコンなのか」「何故この習慣が効果的なのか」、こういったことをしっかりと自分の頭で掘り下げて、深いレベルで「確かにこれは自分に必要だ!」と強く動機付けられないのであれば、何も身につくことはありません。
人とお互いの考えを伝え合って、学びを広げて、成長を加速させたいと思うのであれば、主観ではなく論理で話さなければなりません。
いくら読書をしても、自分の頭で考えるということをしなければ、学び成長することはできません。
「論理的に物事を考えられるかどうか」「論理的に議論ができるかどうか」「論理的に文章が書けるかどうか」、この違いだけで、同じ習慣を続けていても大きくその成果が変わってしまうのです。
文章を書くということは、論理思考力を鍛える上で実はとてもよい訓練になります。
本書で紹介されている「クイズ文」のいくつかの型を真似て、日々の出来事や読書の学びをブログで掘り下げる習慣をつけるだけでも、成長スピードに相当な差が出るはずです。
本書は豊富な事例で「良い問題設定の仕方」「良い結論の書き方」「良い理由の書き方」をかなり具体的に解説しているのですが、これを読み込んでも論理的に文章がかけないのであれば、正直今はあきらめたほうがいいかもしれません。
論理思考力というボトルネックを解除したい方は、まずは本書の型の中から一つ自分に合うものを見つけて、徹底的にその型にはまってみるといいと思います。
非常にオススメです。
非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門 (ディスカヴァー携書) | |
飯間 浩明
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-12-20 おすすめ平均 |