スティーブ・ジョブズ 人を動かす神ーなぜ、人は彼に心を奪われるのか? (リュウ・ブックス アステ新書) | |
竹内一正
経済界 2008-12-09 おすすめ平均 |
竹内一正さんの『スティーブ・ジョブズ 人を動かす神ーなぜ、人は彼に心を奪われるのか?』を読みました。
人は常識の中で常識に縛られて生きているし、最近はその常識空間がさらに狭まってきている。今を抜け出せないで悩んでいる人、自分のやりたいことを見つけられずに悶々と過ごす人、去年と変わらない今年の自分でよいのかと不安に感じる人……。
そんな人が増えている一方で、だれもが、すばらしい人生を送りたいと願っている。
これは序文にある一説ですが、本書はこのような悩みを抱えているかたに是非読んでいただきたい一冊です。
私はこれまでにも度々スティーブ・ジョブズ関連の書籍を強くオススメしてきましたが、その一番の理由は、彼が「好きを貫き、夢を実現した人物」の最高のロールモデルだと思うからです。
「好きを貫くためには何が必要なのか」「偉大なことを成し遂げるにはどうあらねばならないのか」という視点で彼の歩みを分析してみると、へたな自己啓発書や成功本とは比べ物にならないほど貴重なヒントを、いたるところに見つけることができます。
“The only way to do great work is to love what you do”という彼の言葉があります。
私は普段「何故この人(著者、もしくは登場人物)は成功をおさめたのか」という視点を持って本を読むのですが、何かの分野で「偉大」といわれるまでになるには、その分野で他の誰よりも多くのハードワークをこなさなければならない、というのが今の結論です。
ここで努力という言葉を使わずにハードワークという言葉を使っているのには理由があります。
誰よりも多くのハードワークをこなすパワー、それは「努力」「意志の力」「根性」などといった精神論で生み出せるようなエネルギー量の比ではないのです。
ハードワークも楽しく感じてしまうくらい、夢中になれるくらい、その対象に「情熱」が持てなければ、到底不可能なのです。
また、好きを貫き続けていると、次々と立ちはだかる壁にぶつかり続けることになります。
他人の意見、失敗、見栄、世の中の常識、こういったものが不安や恐怖となり、足を引っ張り続けます。
それでも志を曲げることなく、好きを貫き続けるには、情熱に加えてその対象への「あくなき執念」が不可欠なのです。
当事のジョブズは、ピクサーの成功によって、再び大金持ちに復帰したばかりである。それに加え、ハリウッドで最も注目される企業のトップとして尊敬される存在でもあった。
(中略)
そんなジョブズにとって、創業者だったとはいえ、今は「たたんでしまえ」とさえ蔑まれている落ち目の企業アップルを率いることは、自分のキャリアに傷をつける恐れも秘めていた。
(中略)
「復帰することに『イエス』と返事するより先に、考えなきゃいけないことは山ほどあった。家族への影響や、自分に対する世の中の評価なんかさ。でもね、結局そんなことは気にしないことにしたんだ。なぜって、これこそ自分がやりたいことだからだよ。
ジョブズは絶対に、妥協したり、あきらめたり、相手の状況を考慮したりしない。常に「最善」を要求し続ける。
偉大なる何かを成し遂げるには、その何かへの情熱とあくなき執念が不可欠である。
これは言い換えれば、情熱とあくなき執念を傾けられる「何か」を見つければ、私たちは偉大なる何かを成し遂げられるかもしれないということなのです。
私は普段、意識して物事を断定しないようにしています。
ですが、ここでは自分の信念を持って、言いきりたいと思います。
たとえなかなか見つけることができず、悩み、もがき苦しむことになったとしても、情熱とあくなき執念を傾けられる「何か」を探し続けるべきです。
その「何か」こそが、私たちの人生に本当の意味と幸せをもたらしてくれるのです。
スティーブ・ジョブズの哲学やこれまで歩んできたストーリーには、人の心を動かし、自分を変える勇気を奮い起こさせる“感動”があります。
彼の人生そのものが最高のモチベーターなのです。
2005年にスタンフォード大学の卒業式にて行われた彼のスピーチが、いったいどれだけの人々に影響を与え、今も与え続けているのか、もはや見当もつきません。
是非本書を通して、最高のお手本から、好きを貫き夢を実現するためのヒントと自信と勇気を見つけてみてください。
非常にオススメです。
また、以下の著書も同様にオススメなので、興味があればこちらも読んでみてください。
『スティーブ・ジョブズ-偶像復活』
『スティーブ・ジョブズ神の交渉力―この「やり口」には逆らえない!』
『iPodは何を変えたのか?』
『iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり』
以下、私用メモ
●ジョブズにとって、コンピュータはただのマシンではない。人類が持ちえる最高のツールである。コンピュータにはもっといろんな可能性があるはずだというのが、アップル創業以来の変わらない信念だ。だから、コンピュータの確信が「昏睡状態」に陥っているのを見るのは、我慢がならなかったのである。
●次回作が代表作
●「自分の内部にあるもの」に細部まで徹底的にこだわり、アーティストにならねばならない
●思いをまわりから見えるように具体化するところから、独創的なもの、ヒット商品は生まれてくる
●安易な妥協が生み出すものは、中途半端なものになる。部下が中途半端で手を止めようとしたのなら、意を決して「ノー」を突きつけるのがリーダーの重要な役割だ。
●「この世界にはアイデアが満ち溢れている。模倣するほうが少しは楽かもしれない。でも、そんなことをしても世界はよくならないんだ。」
スティーブ・ジョブズ 人を動かす神ーなぜ、人は彼に心を奪われるのか? (リュウ・ブックス アステ新書) | |
竹内一正
経済界 2008-12-09 おすすめ平均 |