ROOKIES (1) (ジャンプ・コミックス) | |
森田 まさのり
集英社 1998-05 おすすめ平均 |
今日は趣向を変えて、マンガを紹介しようと思います。
森田まさのりさんの『ROOKIES (1)』です。
「夢を持つ熱血教師のもと、不良が野球で甲子園を目指す?はぁ?」と今まで思ってきた私でしたが、年末のドラマ再放送を見て…やられました。
私は熱いのは結構好きなのですが、「夢を持とう!努力は尊いんだ!不良が一生懸命な姿でお涙頂戴!」的な表面的に熱いだけの、深みのないモノだとかなり興ざめしてしまいます。
本書はたま~にそういうところがある…かも…なのですが、哲学的側面もあり、共感させられる場面、考えさせられる場面も多く、かなり感情移入しながら読むことができます(まだ1巻ですが)。
本書の主人公、川藤幸一は新任教師なのですが、担任を受け持つクラスでの挨拶でいきなり
「夢に向かって努力してる人間ってのは瞳がキラキラしてる
ホントだぞ
俺はそんな瞳が好きなんだ
そんな瞳を持った生徒を育てたい!
それが俺の夢でもあるんだ」
と真顔で語ります。
あとは新任初日に、教頭先生に「君は教育者はいったいどうあるべきだと思っておるのかね?」と尋ねられて、
「人間として最も大切なこと…夢を持ち夢をつらぬく事の大切さを忘れない
そうあるべきだと思っています」
と突然真剣になって言ってみたり…。
当然生徒たちは皆爆笑で、教頭先生もかなり戸惑い気味なのですが…、果たして自分は自分の理想や夢や信念を、人目を気にしたり、相手の反応をうかがったりすることなく、堂々と言うことができるのだろうかと思うと、ちょっと考えさせられます。
もう一つお気に入りの場面があるのですが、新任早々不良生徒に川藤先生は殴られてしまい、顔の傷を教頭先生たちに追及されてしまいます。
本人は「退学では本当に生徒を更正することなどできない!」と、転んで落ちたのだと言い張るのですが、あいにく事件の現場を目撃したという生徒が現れてしまいます。
そこでの川藤先生の発言です。
「確かに悪い奴がひとりいなくなると その分平和になるかもしれん…しかし それだけなんだ!
何の解決にもなってないんだ!
でもな!
本当は解決の方法なんていくらでもあるんだぞ!
わかるか!?
君もイヤな奴がいなくなるよりイヤな奴がすごくイイ奴になって友達になれた方がいいだろ!
同じ学校の生徒じゃないか!
もう一度よく思い出して本当の事を言ってくれ!」
これはその通りだと思うのですが、同時にとても責任の重い、かつ大変なことだと思います。
「生徒を退学にしたところで根本的解決にはならない!」というのは簡単ですが、実際にはやはり生徒を退学にしたほうが「ラク」であり、根本的な問題を解決するというのは多くの場合、非常に難しく、労力のかかるものです。
口先だけでは済まされず、本当に生徒たちを責任を持って更正することが今後の川藤先生には求められるわけですが、彼がどこまで自分の信念をつらぬくことができるのか、とても楽しみですね。
というわけで『ROOKIES (1)』、とてもオススメなのですが、今後は400~500ページの経営書など、一日では読みきれない本を読むときの合間に、一巻ずつ、ネタバレにならない程度にお気に入りの場面を紹介しようと思います。
ROOKIES (1) (ジャンプ・コミックス) | |
森田 まさのり
集英社 1998-05 おすすめ平均 |