ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 (幻冬舎新書) | |
島田 紳助
幻冬舎 2007-05 おすすめ平均 |
島田紳助さんの『ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学』を読みました。
160ページの新書だからと軽い気持ちで読みはじめたのですが、火傷しました。
本書には芸人という本業で成功する傍らで、数々のサイドビジネスでもすべて成功をおさめた島田さんの、ビジネスに対する哲学が書かれています。
まず押さえておきたいのは、島田さんのビジネスの目的に「自分が儲けること」は含まれていないということです。
本業で十分儲かっていることもあり、わざわざサイドビジネスまで開いてこれ以上儲ける必要性はないのでしょう。
では何故、島田さんは数々のサイドビジネスを生み出してきたのか。
実はここに、利益を得るに留まらない、ビジネスの面白さや可能性が詰まっているのです。
島田さんがビジネスを開く目的のひとつに、「自分のアイデアが正しいことを証明したいから」というのがあります。
自分のアイデアが正しいことを証明することが目的であり、また、本業で十分儲かっているゆえに失敗するリスクも抑えられるため、島田さんのビジネスには「失敗を恐れるという失敗」がありません。
失敗したくない気持ちがあると、人間はどうしても周りが気になる。同業者がどんなやり方をしているか、世間では何が売れているか。そういうことが、まず気になってしまうものだ。
だけど、その常識にとらわれていたら、成功する店は作れない。
(中略)
成功しているところは、どこもみんな個性的だ。事業の常識を覆すようでなければ、おそらく本物の成功は望めない。
本業でビジネスをする人は、失敗が許されないから、なかなかこの常識から自由になれない。
注意したいのは、常識にとらわれないということは、非常識になればいいということではありません。
常識にとらわれていなくても、その考えが合理的でなければ、通用するわけがないのです。
常識にとらわれず、かつ、合理的に練り上げられた島田さんのビジネス・経営哲学は非常に本質的で、読んでいて何度もうならされました。
以下で特に印象に残ったものを紹介しますが、本書は是非自分で読んでみて欲しいと思います。
プラモデルを作るにしても、真剣にやらなければ面白くない。
真剣に合理的に経営しているからこそ、1つのビルをオモチャ箱にするなんて常識はずれを成功させることができるのだ。
遊びだからこそ、真剣にまじめにやらなきゃいけない。成功させなきゃ、面白くもなんともない。つまり、遊びにはならないのだ。
単純にサービスを良くするというやり方だけでは、顧客満足度という意味で、他の店と差別化するのは難しいということになる。
顧客満足度を高めるために、従業員満足度を上げる
根本のところで、みんなが幸せにならなきゃ意味がないということを、経営者がいつも真っ先に考えているかどうかだ。
強制的に仕事をさせるやり方では、人の創意工夫の能力を引き出すことはできないのだ。
本人の幸せと会社の業績が一致すれば、愛社精神なんてものは自然に育つ。強制なんかしなくても、従業員はプライドを持って心から会社のために働こうと思う。それはすなわち、自分の幸せでもあるわけだ。
社員に身を粉にして働けと言うなら、経営者は身を粉にして社員の幸せを考えなければいけないのだ。
宣伝は諸刃の剣だからだ。
単純な話、もしその店が美味しくなかったら、悪い宣伝をしているのと同じこと。
その店で味わえる満足感がそのお金に見合ったものかどうかは、みんな無意識のうちに計算している。
興味があるといろんなことがわかるようになる。
そうやって知識が増えていけば、自然にいろんなことを考えるようになる。そういうところから、あるときふとアイデアが浮かんでくるのだ。
ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学 (幻冬舎新書) | |
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