偶然をチャンスに変える生き方―最新キャリア心理学に学ぶ「幸運」を引き寄せる知恵 | |
諸富 祥彦
ダイヤモンド社 2009-02-27 おすすめ平均 |
諸富祥彦さんの『偶然をチャンスに変える生き方―最新キャリア心理学に学ぶ「幸運」を引き寄せる知恵』を読みました。
「成功するのに、才能と努力以外にも必要なものってあるの?」
という人に本書は是非読んでみてほしい一冊です。
さまざまな分野で、誰もが認める本当の成功を収め、私生活でも幸福を教授していた人の人生を調査したところ、その人生の節目節目の出来事、ターニングポイントとなった要因の実に8割が、本人にも思いもよらなかった偶然の出来事や出会いによるものであった、というのです。
これに従うならば、成功の8割は運だということですよね。
実際はどうかというと、例えば日本一のお金持ちこと斎藤一人さんは「ツイてる」が口癖ですし、あのストイックな努力で有名な渡邉美樹さんでさえ「私の成功の99%は運」だと講演で述べていました。
こういうと、「なんだ、いくら才能があろうが努力をしようが、結局は運なのかよ」と、なんとなくやりきれない思いになる人も多いと思います。
なぜなら多くの人は、運なんて存在しないと思っているか、運は自分ではどうしようもできない、コントロールできないものだと考えているからです。
しかし私は、運を引き寄せることはできると思っています。
それはスピリチュアルな考え方でも、「大宇宙の法則が働いているんだ」というような普通の人には理解できない話などでもありません。
要するに運がいい人というのは、偶然を引き寄せて、それをチャンスに変えられる人のことなのです。
そのためには本書に書かれている
●「偶然を引き寄せる考え方、価値観、行動」
を身につけるとともに、本書には書かれていませんが
●「偶然をチャンスに変える準備」
をすることの2つが不可欠なのだと、私は考えています。
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● 運は必要か?
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私は必要だと思います。
今までの自分を振り返ると、「あれがターニングポイントだったな」と思えるような偶然の出来事がいくつかありました。
例えば小学校の5年間を父親の転勤でアメリカで過ごしたこと。
中学校で席が隣だった人に、「こんな高校ないかな」とまさに自分がイメージしていたような高校を紹介されたこと。
自分の人生観が変わるような本を人から薦められたこと。
これらの偶然がなければ、恐らく今の私はないと思います。
同時に今後の私の成長にも、おそらく多くのこのような「偶然」が今後も関わってくるのではないかと思います。
自分ひとりで得られる知識や情報、見れる世界には限界がありますからね。
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● 幸福を引き寄せる体質
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真の幸福と成功を手に入れた人は、自分を幸福にしてくれる偶然(ラッキーな出来事や出会い)が起きやすいような考えや価値観を持ち、それにふさわしい人生への構えを取り、それにふさわしい行動をしている。
偶然の出会いや出来事に心を開いて、それを積極的に人生に取り込むことができるか、どうか。そこが運命の分かれ目なのです。
本書は具体的な心構えとして、
1.好奇心
2.粘り強さ
3.柔軟性
4.楽観性
5.リスクテイク
の5つをあげているのですが、つまるところ何が重要なのかというと、
●自分の知らない世界を頭ごなしに否定する
のではなく、
●「もしかしたら新たな気づきや発見、思わぬ出会いがあるかもしれない」
と、まずは偶然に身を任せてみる余裕なのです。
その全く逆の考え方の人として「目標依存型人間」というのがあるのですが、これは典型的な「偶然を見方にできない思考パターンの持ち主」で、目標や自分のスタイルにこだわるあまり、それとは違う方向性のものの一切を切り捨ててしまう人のことです。
余りにも自分の世界に閉じこもっていると、いろいろな偶然を見逃してしまうわけです。
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● 偶然をチャンスに変える準備
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本書には書かれていませんが、私は偶然をチャンスに変えるためには「幸運を引き寄せる体質」を作るだけでなく、その前に偶然をチャンスに変える力がなくては意味がないと考えています。
チャンスを掴む力といってもいいかもしれません。
要するにいくら偶然やチャンスに敏感な体質を作ったところで、それを掴むだけの「能力・実力」を身につけていなければ、決してそれを活かすことなどできないのです。
「人生は結局運なんだ!チャンスに敏感になって、幸運を引き寄せる体質を身につけさえすればそれだけで成功できるんだ!」
などという考え方は、私は愚の骨頂だと思います。
例えば同じ本でも、それを読んでその内容に感動できる人と感動できない人、理解できる人と理解できない人、活かせる人と活かせない人がいます。
同じ授業を受けていてもそれを吸収できる人と吸収できない人、10を学べる人と1も学べない人がいます。
小柴昌俊さんは、世界で始めてニュートリノの検出に成功し、ノーベル物理学賞を受賞しました。
人々は小柴さんに対して、「ラッキーだった、幸運だった」といいますが、ニュートリノは何も小柴さんの下にだけあらわれたのではなく、誰の元にも平等に降り注いだのです。
我々と小柴さんの違いは、その偶然に対してどれだけ備えて準備することができていたか、それだけなのです。
つまり「成功しよう」「お金持ちになろう」と思うのであれば、宝くじで2億円を当てるような「自分ではどうしようもない運」に頼るのではなく、偶然のチャンスを呼び込む努力と、そのチャンスを掴むのにふさわしい自分になる努力をしなければならないのです。
そのためには勉強であったり練習であったり、そういったハードワークを積み重ねることが不可欠なのです。
楽して運だけで成功するなんてことはありえません。
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偶然をチャンスに変える生き方―最新キャリア心理学に学ぶ「幸運」を引き寄せる知恵 | |
諸富 祥彦
ダイヤモンド社 2009-02-27 おすすめ平均 |
2 Comments
諸富祥彦さん、このような本を書かれるようになっていたんですね。
>8割が、本人にも思いもよらなかった偶然の出来事や出会いによるものであった
こう聞くと、努力しても意味がないんじゃないかという気がしますが、その考えは、記事を読み進めていくうちに、なくなりますね!
特に
>運がいい人というのは、偶然を引き寄せて、それをチャンスに変えられる人
という文章は、「運」といってもそれをものに出来るかどうかはその人の努力次第ということが伝わってきました。
他人の成功を見て、「あの人は運がよかったから…」なんてことは絶対に言いたくない。そんなことを言っている暇があれば、能力を磨こう。
そういうことですよね!
ぼってぃーさん
まったくおっしゃるとおりです!
私もいつ偶然のチャンスが訪れてもいいように、
これからもしっかりと準備し続けたいと思います。