“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事 | |
小暮 真久
日本能率協会マネジメントセンター 2009-03-21 おすすめ平均 |
小暮真久さんの『“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事』を読みました。
現在、世界の政治や経済のシステムは、残念ながら完璧とはほど遠い状態にあります。そうでなければ、地球温暖化、貧困や格差、紛争やテロなどの地球規模の課題がこれだけ起こっている理由を説明できません。そして、完璧ではないからこそ、誰かがその矛盾や歪みを正していく役割を引き受けなければならないのです。
”誰”かとは誰でしょうか?
国でしょうか、それともお金持ちでしょうか?
モノもお金もない私たち一般人には関係のない役割なのでしょうか?
本書はそんなことはないのだということを教えてくれる一冊です。
「いいことをするべきだ!」と言うのではなく、「こうすればたいして無理をしないでいいことができますよ」「あなたの気持ちをこういう形で届けますよ」、そう言えるだけのしくみを用意すればいい。そうすれば、みんな喜んでそのしくみを使ってくれるはずです。
国でなくても、お金持ちでなくても、”しくみ”さえ作れば私たちでも地球温暖化や貧困といった世界規模の問題に取り組むことはできるのです。
そのしくみを作る人、それこそが「社会起業家」なのです。
製品やサービスの対価を顧客から支払ってもらえる一般のビジネスモデルとは異なり、著者の起こした事業はアフリカに住む子どもたちから金銭的リターンをもらえるわけではありません。
そんな中でいかに自分たちの暮らしも維持しながら事業を行い、協力企業を募り、利益をあげ、それを社会に還元していくのか。
想いと頭脳でWin-Winの幅を広げていけば、私たちにも世の中をより良くすることはできるのだという勇気を本書は与えてくれました。
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● NPOの実像
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日本は他国に比べて社会事業の歴史が浅いので、NPOなどに対する偏見や認識不足があるのは仕方のないことです。詐欺や脱税をはたらくような、”怪しい団体”という見方をされることもあります。
確かにNPOはまだまだ私たちにとって身近な存在とはいえませんし、社会起業家という言葉自体、私は最近になって知りました。
社会貢献が目的と言うこともあり、NPOについてはどうしても犠牲的な側面を想像しがちです。
しかし、実際はどうなのでしょうか。
「限られたリソースを最大限有効に使っていかなければ生き残れない」というのは、営利を追求する一般企業となんら変わりはないのです。
つまり、社会事業であっても、「志は善、しかしビジネススキルがない」という人では、うまくやっていくことはできません。
社会起業家という生き方は、厳しいビジネスの世界から抜け出して、国から補助金をもらいながらボランティア生活を過ごそうという気ままなものでは決してないのです。
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● 想いを届けるしくみをつくる
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「この社会をもっとよくしたい」
そうした気持ちを持った人がその想いを形に出来る。世の中にはそういうしくみがもっと必要です。そのしくみをつくるのが、まさに社会起業家というわけです。そして、同時に仕組みの存在を知らしめ、それに価値を付加し、賛同者と参加者を広く募るということも、社会事業の仕事の一部なのです。
具体的な活動ができているわけではなくとも、心の中では世の中をよりよくすることに貢献したいと考えている人たちが世の中には大勢いるはずです。
そういう人たちの気持ちを行動につなげ、無理なく世の中に届けられるしくみさえ生み出せれば、一人の行動をきっかけに世の中を動かすことだって不可能ではないのです。
本書を読んで私は、自分の幸せを、世の中の問題の解決することや困っている人々を手助けすることともっと重ね合わせて生きていきたいと思いました。
あなたは最近、仕事で何人の人たちを笑顔にしましたか?
あなたの仕事で、誰かが喜んだり、元気になったりしているという実感がありますか?
もし、考え込んだり、答えに窮してしまったなら、あなたは自分の仕事に全身全霊をかけていない、あるいは、そうしたいと思える仕事をしていないのかもしれません。
僕自身がそうでした。いつだってたぎるような情熱で仕事にのぞみたいと心の内では思っているのに、気が付けば、いつもどこかに燃えカスのようなものが残ってしまう。
やがて、それは自分が本当にやりたいことをやっていないからだとわかりました。
己の全身全霊を傾けられるような想いをいかに形にし、仕事にしたらいいのか、是非本書から学び取ってほしいと思います。
非常にオススメです。
“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事 | |
小暮 真久
日本能率協会マネジメントセンター 2009-03-21 おすすめ平均 |