あたたかい組織感情 ミドルと職場を元気にする方法 | |
野田 稔
ソフトバンククリエイティブ 2009-02-17 |
野田稔さんの『あたたかい組織感情 ミドルと職場を元気にする方法』を読みました。
「皆一緒」は、「自分一人で」に変わった。「チームの成果」を誰も口にしなくなり、「あなたの成果は?」と詰問調で問われるようになった。(中略)
「あなたの能力は?」「あなたの成果は?」「あなたは今、会社にどのような貢献をしてくれるのですか?」。そうした問いかけが、休みなく矢のように身体に突き刺さった。一つ一つの問いかけは正しくとも、それらすべてが合わさったとき、現場から人間らしさが失われた。部分最適の総和は、決して全体最適にはならなかった。私たちは経営にとって一番大切な”何か”を失ってしまった。
経営資源といえば人、物、金が真っ先に思い浮かびますが、その中でも最も大切なものであると考えられていながら、最もないがしろにされているのが「人」だと本書はしています。
「人」にいかに積極的にコミットする姿勢を持ってもらうかという視点は、組織の中で「人」という資源を最大限に活用する上で非常に大切です。
しかし、コミットを得るための手段として「能力は?」「成果は?」という問いかけをすることは、必ずしもいいとはいえません。
人は論理だけでは動きません。
いくら論理的には正しい説得をしても、肝心の感情を動かせなければ、つまり「こうしたい」という気持ちや思いがその人の中から出てこなければ、主体的な、そしてクリエイティブなコミットメントは得られないと思います。
ここにリーダーシップの難しさがあります。
私は社内のとある企画で今リーダーを勤めています。
そして、チームのメンバーのコミットメントを最大限に引き出すことは、良い成果に直結する非常に重要な要素だと感じています。
なので、この企画の意義を一生懸命伝えたり、この企画を通して関係者に何を伝えたいのか、そして自分たちはどうなれるのか、その結果何がどう変わるのかといった「未来のビジョン」を繰り返し語り、何とか全員のハートに火をつけようと試みています。
しかしこれが非常に難しいのです。
自分には魅力的なビジョンがどれだけ明確に見えていても、それを上手く他のメンバーにもイメージできるように伝えられなければ、彼らの共感や納得は得られません。
更に言うと、もし伝えられたとしても、何がその人のやる気の動機付けになるかは人それぞれ異なるので、人それぞれ違うやる気の源泉にあわせて様々な視点から意義・使命・目的・ロマン・夢といったものを語れなければ全員の共感を得ることは非常に難しくなります。
私の場合、少し論理的に説明しようとしすぎたのかなと見直す部分がありました。
結局人は論理ではなく、感情で動かされます。
いくら論理で訴えても、理解はできてもそれだけでは深い共感や納得にはつながりにくいのを今痛感しています。
もっと情熱を込めて、多少直感的でもいいから自分の思いを前面に押し出すやり方のほうが、もしかしたら思いは伝染しやすいのかもしれませんね。
いろいろやり方を考えながら、挑戦する毎日です。
少し脱線しましたが、ぎすぎすした職場、感情の冷え切った職場をなんとかしたい、組織の感情を元気にしたいと考えている人に、本書は是非読んでみてほしいと思います。
本書はソフトバンククリエイティブの入山様、そして著者の野田稔様よりいただきました。
ありがとうございました。
あたたかい組織感情 ミドルと職場を元気にする方法 | |
野田 稔
ソフトバンククリエイティブ 2009-02-17 |