ロジカルシンキング・リーディング | |
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大石哲之さんの『ロジカルシンキング・リーディング』を読みました。
読書がなかなか仕事の成果に結びつかない、という人に是非読んでもらいたい一冊です。
教養ではなく、「仕事で成果を生み出すための読書」にこだわった内容になっているので、
・やったことのない新しい分野について、3日以内に調べてプレゼン資料を仕上げないといけない
・短期間で成果をあげたい
・明日までに○○業界についてお客様と話せるくらいには理解しないといけない
・コンサルタントのように、幅広い知識を短期間で身につける方法が知りたい
という「即実践」を求める人には特にオススメです。
いろいろ読書術の本は読みましたが、アウトプット力に関しては本書がNo.1でした。
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● 選択と集中
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例えば営業力を改善したいと思ったときに、「営業とは」のような本を何冊も読んでも恐らくあまり実践では活きないでしょう。
営業力は様々なスキルで構成されているものなので、それらを全てまとめて一冊の本で学ぼうとしても、掘り下げが十分ではありません。
また、全てのスキルを一度にまとめて強化しようとするあまり、本の内容を何個も何個も取り入れようとしても、逆に効率が下がるだけです。
著者流(コンサルタント流)の読書術では、まず自分の課題がどこにあるのかをまず具体的に絞ることから始めます。
・「自分が取得したい知識・スキルの全体を俯瞰して、そこから狙いを1点に絞って、そのあとは集中読書」
・「読書は仮説検証をしながら読み、すぐに実践に結びつける」
まずは全体を俯瞰して、その中から課題のありそうな部分を思い切って1つに絞り、そこの部分のスキルアップにつながりそうな本を10冊ほど集中して読むのだそうです。
「最近は仕事に直結する本を多く読んでるね」とか、「最近は読書のペースが落ちてるね」と近頃言われるようになりました。
今の仕事に改善したい課題を抱えていて、そこを強化するために本を読んでいるわけですから、本を読みながら「これはどうやったら今の仕事にあてはめられるかな」とか、「このときの顧客心理ってどういう状態なのだろう」とかいろいろ考えるわけです。
活字を読んでいる時間と同じくらい、もしくはそれ以上に、考える時間・実践する時間が必要なので、最近は確かに毎日一冊は読めなくなりましたね。
ただ、本書を読んで私は掘り下げて考える力がまだまだ足りていないなと痛感しました。
例えば私はテレアポのスキルを改善したいと思い、「テレアポとは」のような本を2冊読みましたが、著者なら課題を
・リストを効率よく集める
・リストから可能性のある客を効率よく見抜く
・電話したときのファーストインプレッションを良くする
・少なくとも1分くらい電話を聞いてもらえるようにする
・相手にYESと言わせる押しを高める
・断られたときに落ち込まない心理状態を作る
といったように更に細かく分解して、まず何処を1点突破で改善するべきか、掘り下げるのだそうです。
しかも読むのは10冊。
私はまだまだですね。
問題点=読書目的=学習=実践となるように、今後はもっと問題点を深堀りしてみようと思います。
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● ロジカルシンキングを使って読む
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本書に本をロジカルに読むためのツールとして、「雲雨傘」というものが紹介されています。
「黒い雲が出ている」:誰が見ても観察できる事実(=データ)
「雨が降るだろう」:事実を解釈した意見(=解釈)
「傘を持って行くべき」:意見を踏まえた行動(=アクション)
普通は、データから解釈を導き出し、それを踏まえてアクションを提言する、というステップで本は書かれているのですが、これをごちゃ混ぜにして理解してしまうとアウトプットにつながりにくくなります。
例えば「テクニック」「ノウハウ」をいきなり勉強しようとする人は、データと解釈を飛び越えていきなりアクションだけを理解しようとしているのと同じなのです。
著者がどういう場面で、どういう解釈の元に用いたテクニック・ノウハウなのかを理解せずにそれを覚えたところで、使いどころを間違えるか、使いどころがわからないかのどちらかでしょう。
「雲」を読んでいるのか「雨」を読んでいるのか「傘」を読んでいるのか?を常に考えて見ましょう。
重要なのは、まずは、「雲」にあたる事実を理解すること。そして筆者の考える「雨」の部分に対して自分の意見をぶつけて考えること。「雲」「雨」がわかったらば、著者の「傘」を参考にしつつ、できれば自分なりの「傘」に相当するやり方を、考えてみるということです。
この「雲雨傘」は非常に良さそうなので、早速使ってみようと思います。
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本書は、著者の大石様よりいただきました。
ありがとうございました。
以下、私用メモ
思い切って目的とする1つのノウハウだけ身につける。他のことは惜しいけれども今回は捨てる。1冊の本から多くを学ばない。
読書におけるセレンディピティを得るためには、常に複数の問題意識を、意識の水面下レベルでよいので、持ち続けることが重要です。
原理原則で考えると、「なんとか算」はすべて同じ問題なのです。
たくさんのテクニックを学ぶより、原理原則を早くつかむ
原理原則を正しく理解していないと、真のテクニックにはならない
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2 Comments
ロジカルシンキング・リーディングの書評紹介(その2)
拙書ロジカルシンキング・リーディングですが、さらに幾つかの書評でとりあげていただきました。大変励みになります。今回は、取り上げていただきました書評をご紹介いたします■活かす読書「読書のPDCAサイクル」とは、次の4つの行動を一連の流れとしてパッケージしたもので…
人生を変える!「心のブレーキ」の外し方
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