NASAより宇宙に近い町工場 | |
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植松努さんの『NASAより宇宙に近い町工場』を読みました。読んでいて胸が熱くなる一冊でした。著者の植松さんは北海道の赤平という町で、20人の会社を経営しています。町の景気が非常に悪い中、リサイクルに使うパワーショベルにつけるマグネットを製造しているこの小さな町工場は、同時に宇宙開発も行っています。何故宇宙開発という仕事にも取り組んでいるのか、その理由がとてもいいんです。
周りの人たちからは、この宇宙開発ビジネスに関して、「将来的にはいくらぐらいの売り上げを見込んでいるのですか?」と、良く質問されます。でも僕はそのことについてはあまり考えていません。なぜなら、僕にとって宇宙はお金を稼ぐ対象ではないからです。宇宙開発には、もっと大切な意味があるように思えるからです。僕は、宇宙開発はあることを実現するための手段だと考えています。それは「どうせ無理」という言葉をこの世からなくすことです。
多くの人があきらめてしまう夢を、「そんなことないよ!」と言って実現できれば、あきらめない人が一人でも増えるのではないかと思っているのです。
植松さんは小さいころから紙飛行機、ペーパークラフト、潜水艦、恐竜など、興味を持ったものを研究・実験するのが大好きだったようです。ただそれが学校の勉強内容とはかみ合わず、テストは赤点続きで、学校の先生や周りからは「そんなことばかりやってるから成績が悪いんだ」「そんなことやって何になる?」「どうせそんなことやってても食っていけない」「どうせ無理だ」と言われ続け、悔しい思いをして育ったそうです。
それは現代でもあまり変わっていないのではないかと思います。学校は基本的には、子どもの個性を開放する場というよりは特定の型に当てはめようとする場であるし、学校の成績やテストに関係ない分野について自由に探究する機会はあまり与えられていないのではないかと思います。そういう中で自分の好きなこと、興味のあること、やりたいことをあきらめようとしている人たちに対して、「そんなことないよ!」と言ってあげるため、それを証明するために宇宙開発に取り組むんだというその姿勢が、とてもいいなと私は思いました。
僕たちは二〇人ほどの小さな工場とはいえ、心意気はNASAより宇宙に近いと思っているのです。
「前例がないからできない」「やったことがないからできない」「経験がないからできない」「新人にできるわけがない」といった後ろ向きな考えがよぎってしまうときにも、「そこに込めた想いは誰よりも実現に近いはずだ」と胸を張って言えるようでありたいですね。
以下、良いと思った部分の抜粋です。
成功するための秘訣とは、成功するまでやるということです。(中略)途中でやめてしまうと、ずっと公開することになります。
どんなことがあっても、「だったら、こうしてみたら」と思える人たちが〇から一を生み出す人になります。
「いやなことは自分のところで食い止めるぞ」という鋼のハートを持った瞬間に、ブツッと鎖が切れるんです。
どんなことでも、できる理由を考えればできるんです。
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2 Comments
昨年、植松さんの講演を生で聴く機会がありました。
聴いた時、魂が奮わされたのを覚えています。
書籍を出されたのですね。
ぜひ読んでみたいと思いました。
畑中さん
植松さんの講演を生でですか、うらやましい・・・。
心の琴線にふれるものがありますよね。
また久しぶりにお話したいですね。
今度どこか飲みに行きましょう。