ゴールは偶然の産物ではない~FCバルセロナ流世界最強マネジメント~ | |
グリーン裕美
アチーブメントシュッパン 2009-12-01 おすすめ平均 |
フェラン・ソリアーノの『ゴールは偶然の産物ではない~FCバルセロナ流世界最強マネジメント~』を読みました。私は高校のときから雑誌やネットのコラムを通して海外サッカーの動向をずっと定点観測してきました。最初は好きな選手やチームを追っていただけだったのですが、次第にその裏にあるチームやクラブ組織のマネジメントに興味を持ち始め、加えて本を読むようになってからは一般のビジネスとサッカーのビジネスが本質的には共通項が非常に多いことに気づきました。
例えば最近のビジネス書を読むと、今後は何でも平均的にできるジェネラリストよりも、一芸に秀でたスペシャリストが求められるようになるということがしばしば書かれています。しかしサッカーの世界では昔からシュート・パス・ドリブル・スピード・パワー・展開力・視野の広さ・マンマークのスキルなどがどれもすじなみ平均の選手を集めたところで勝つことは出来ないのです。どこかで秀でた能力を持った選手たちを集め、彼らを最大限に生かせるバランスを見出し、適材適所に配置したチームが強いのです。なのでクラブチームは、大きな違いを生み出せる一握りの優れたプレーヤーには莫大な年俸を払います。
日本では最近格差が問題になっていますが、サッカー選手の年俸の格差は、たとえ同じチーム内の選手同士であっても、今の日本とは比べ物にならないレベルです。今後は企業でもこういった傾向は強まるし、格差も広がっていくのではないかと思います。さて本書は、サッカーのクラブチームにおける「経営」のあり方を、
・1億8600万ユーロという巨額の負債を抱えながらわずか4年で再生し、
・6冠を達成し誰もが認める最強クラブとなった、
FCバルセロナという最高のお手本から学べる一冊です。ビジネスモデルの変遷にいち早く気づいたManchester Unitedの成功事例など、一般のビジネスの経営に当てはめても充分参考になる内容で、加えてサッカー好きの私には非常に楽しめました。
以下、印象に残った箇所の抜粋です。
21世紀に入ると、特に主だった国際的なクラブでは、3つ目の収益源としてマーケティングを利用し始めた。(中略)この3つ目の収益源の拡大はビジネスモデルの本質的な変更を促し、サッカーというビジネスを世界的な娯楽ビジネスへと変貌させた。
バランスを維持するためには、チームに対しても、自分自身に対しても厳しい要求をしなければならない。と同時に、自身に対しても公正に評価を下さなければならない。選手から監督への最高のコメントは「監督は厳しいが、公平だ」―グアルディオラ現監督がそう語っているのを聞いたことがある。チームのバランスは、明確な方針と意志の疎通、そして公平で妥協のない決定を下すことによりもたらされる。
適切なボーナスを設定することは非常に重要である。サッカーのようなチームスポーツにはチーム全体に対する報酬も必要になる。先に少し触れたが、ハビエル・サビオラの場合は、1ゴールにつき6000万ユーロのボーナスが出る契約になっていた。
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