スティーブ・ジョブズ 危機を突破する力 | |
竹内 一正
朝日新聞出版 2010-03-05 おすすめ平均 |
竹内一正さんの『スティーブ・ジョブズ 危機を突破する力』を読みました。「怖がってないで、自分が正しいと思ったことをやれ」と、ジョブズの言葉はいつでも私の背中を蹴飛ばしてくれます。
我慢しない
「黙って上司の言うことを聞き、いやな仕事も我慢していれば、そのうちいいときもくる」などと毛ほども考えない。「オレだけが」「私なら絶対に」という自己主張はほんの挨拶代わりだし、自分の意見を出さないエンジニアは無能としかみなされない。
(中略)
日本の組織では、課長より部長の意見が正しく、部長より社長の言うことがもっともだという暗黙の了解がある。しかし、アップルでは肩書きなど関係ない。
アップルはジョブズのワンマンチームで、ジョブズの意向で全てが決まっているように勘違いされますが、色々と本を読んでいると実はそうではないことがわかります。社員が思ったことを自由に述べ、肩書きとは関係なくディスカッションすることで優秀な才能やアイデアが有効に組織力に還元される。だからアップルは次々とイノベーションを生み出せるのでしょう。
対立意見は敵視され、言われたことを素直にやる人が評価されてしまう。そんな環境である程度の評価を受けてしまうと、どうしてもそれを守ろうという衝動に駆られそうになる。そして言いたいことを言うべきかどうか迷ってしまう、逃げようとしてしまう。まだまだ弱いですね。
We want to put a dent in the universe.
社員にコミットさせようと思ったとき、「このままじゃ会社が危ない」「危機感を持て」「職がなくなるかもしれない」と、恐怖心で社員を駆り立てようとする人もいます。しかしジョブズは逆で、社員に夢を持たせます。
「この仕事はすごい可能性を持っているんだ」と社員に気づかせ、仕事に熱中させてしまうのです。夢を語れなくなると、恐怖心やお金で人を動かすしかありません。しかし恐怖心では社員の自発的なコミットメントは望めませんし、お金はコストがかかる上に効果は一時的なものです。夢を語るのにお金は要りません。「ジョブズとならすごいことができそうな気がする」、そう考えてアップルには最も優秀な人材が集まるのです。
スティーブ・ジョブズ 危機を突破する力 | |
竹内 一正
朝日新聞出版 2010-03-05 おすすめ平均 |