「好きな仕事」は会社を辞めずにやりなさい! | |
田中 和彦
日本能率協会マネジメントセンター 2010-05-27 |
“The only way to do great work is to love what you do”というアップル社CEOスティーブ・ジョブズの言葉があるように、好きなことを仕事にしなければなかなか大成することは出来ません。なぜならば、好きなことをやらなければ頭が「仕事脳」にならないからです。
お笑い芸人が何故次々とお笑いのネタを見つけられるのか、不思議だと思いませんか?あれは、何をしていても常にお笑いのことが頭の片隅にあり、ふとした発見や思い付きを自然にお笑いのネタに結び付けて考えてしまう癖が染み付いているからなのです。ついつい仕事のことに結び付けて物事を捉えてしまうくらい我々も頭を「仕事脳」にすることが出来れば、それは強力な武器となります。
とはいえ、そのために職場を変えるというのも勇気がいることですし、転職・独立したからといって好きな仕事が出来るとは限らないですよね。そんな悩みに効く「今の職場にいながら好きなことを仕事にする6つのポイント」を、田中和彦氏の『「好きな仕事」は会社を辞めずにやりなさい!』から紹介します。
1.転職しない
どんな人でも、最初は社会人のベースとなる基礎的な力を身につける必要があります。それが身につかないうちに「合う・合わない」で転職を繰り返していては、より専門的な知識や技能を身につけるための土台をいつまでたっても作ることが出来ません。社会人として基礎的な力は「好きな仕事」に全く関係のない仕事でも身につけることができるので、転職を考えるのはそれからでも遅くはないでしょう。
2.会社から必要とされる
今の職場で好きなことを仕事にするには、まずは社内で必要とされる人材になることです。評価されればされるほど、社内での自由度は増えていきます。そうすればより好きな分野へ自分を持っていけますし、好きな仕事を自分の方へ引き寄せることもできるのです。会社にわがままが言えるくらいまずは今の職場での仕事に専念し、その上で今の職場で好きな仕事をやれる立場を獲得しましょう。
3.ポータブルスキルを身につける
何でもいいので、今の仕事で「これだけは負けない」「これだけは自信を持ってやれる」といえるスキルを身につけましょう。そうすれば、そのスキルは別の分野へ持ち運び可能な自分の武器となります。営業マンならほぼ誰でも知っているようなノウハウが、営業職についての理解が薄い就活中の学生にとって非常に有益な情報となり得るように、同じスキルでも場所を変えるだけで評価は変わるものです。今の仕事で身につけたスキルを活用できそうな分野を今の職場で見つけられたら、そちらへの異動希望を出してみましょう。そうやって仕事を「横スライド展開」していきながら、だんだんと好きな仕事に近づけばいいのです。
4.進みたい方向を明確にする
漫然と目的や目標もない状態でいては、好きな仕事を引き寄せることは出来ません。進むべき方向がわからなければ、どの方向に「横スライド展開」すればいいのかがわからないからです。細かく決めすぎる必要はありませんが、ある程度の方向性は常に描いておきましょう。そして、そのために必要となりそうな知識、スキルを絶えず磨き、必要なら資格も取り、努力という種を蒔き続けましょう。
5.「好き」を周囲に宣言する
「好きな仕事」をしたいなら、「自分の好きなこと」を周囲に伝え続けましょう。私もITソフトウェアの会社で書評の仕事をするなど考えもしませんでした。しかし、読書とブログを続けていることを社内で話し続けていた結果、会社でお客様向けのポータルサイトを新たに構築することが決まった際に、書評コラムの担当を任せていただくことが出来ました。このように、周囲に自分の好きなことを認知してもらえれば、それに近いものが現れた際に真っ先に思い出してもらえるのです。自分の好きなことをアピールし続け、チャンスを引き寄せましょう。
6.片足を常に外に出しておく
ある場所にずっと閉じこもっていると、そこが全てのような錯覚に陥り、そこで行われていることに疑問を持たなくなりがちです。長くいればいるほど、世界は狭くなりやすく、付き合う人や行動範囲も限られてきます。逆に言うと、常に外の視点を持っていれば、内部の視点からでは気付けない意外な一面が見えてくるものです。自分の現在の仕事についても外部の視点からみることで意外な発見があるかもしれませんし、好きな仕事につながりそうな接点が見つかるかもしれません。ブログを書いたり、交流会や勉強会に参加するのは効果的かもしれませんね。
本書に興味がある方は、同著者の前著『それでも仕事は「好き!」で選べ』もあわせて読むと、理解が一層深まると思います。なお、本書では基本的には転職せずに今の職場で好きなことを仕事にすることを目指していますが、どうしても今の仕事が合わなかったり、価値観があわなかったりする場合は、転職したほうが効果的な場合もあることを付け加えておきます。
「好きな仕事」は会社を辞めずにやりなさい! | |
田中 和彦
日本能率協会マネジメントセンター 2010-05-27 |