受注にいたるまでに必要な条件をプロセス化し、組織として標準的に行えるようにすることが、法人営業における業務改革のポイントです。
よくあるのが、受注目標の数字と訪問件数のノルマがリンクされていないケースです。こういう会社では、「訪問件数のノルマを達成しているのに、受注目標が達成できない!」ということが起こります。そういう時によくよく話を聞いてみると、「同じ担当者ばかりに会っていた」「案件の見込みが低い顧客に訪問していた」「既存顧客にしか行っていなかった」などなど、いろいろ活動内容に問題があったことが分かります。
今日は、売上とプロセスをリンクさせる方法を、私が参考にした『元キーエンスのトップセールスが教える 誰でも売れる「プロセス思考」営業術』の内容も交えてご紹介します。
1.売上目標と案件件数をリンクさせる
まずは、売上の1つ前のプロセスである、「案件を何件とれれば売上目標を達成できるか?」を考えます。
今期の売上目標が1億2000万円だとします。そのうち、リピートが見込める売上が7000万円あるとすると、売上目標の達成のために新たに作る必要があるのな5000万円であることが分かります。
5000万円の新規売上を作るには、何件の案件が必要なのでしょうか?それを知るには、推定案件単価と、推定案件成約率の2つが必要です。推定案件単価が100万円だとすると、5000万円の新規売上には50件の成約が必要であることが分かります。また、推定案件成約率が40%だとすると、50件の成約には125件の案件が必要であることが分かります。
つまり、1億2000万円の目標数字を達成しようと思ったら、単価100万円の案件を125件作るために何が必要かを明らかにし、プロセスを管理しなければならないのです。
2.案件を作るための施策を立てる
必要な案件数が明らかになったら、次はそれを作るための施策を立てます。施策では、以下の内容を明らかにします。
- 「どこに」:ターゲット(顧客/業界など)
- 「なにを」:商品(注力している商品/担当している商品)
- 「どのように」:営業手法(訪問、電話、DM、メール、展示会、広告、ホームページなど)
- 「どれくらい」:量(訪問件数、電話件数、DM送付数など)
- 「いつまでに」:時期、期間
よくあるのが、訪問件数だけが決まっていてターゲットが明確化されていなかったり、どの商品を遡及するのかが決まっていなかったりするケースです。そうすると、売上のポテンシャルで判断せずに行きやすい企業を訪問してしまったり、自分が紹介しやすい(紹介したい)商品ばかりを訴求してしまう、などといったことが起こります。
世の中の動向や自社のミッションを踏まえて、今どの商品やサービスに注力して販売するべきなのか、それを必要としている層(ターゲット)はどこなのかを明確にしなければ、現場は楽な方へ楽な方へと流れてしまうでしょう。
3.施策のプロセスを管理する
施策が決まったら、それをプロセス化し、管理できるようにします。パフォーマンスの高い人の活動を分析し、そこから有効性の高い標準プロセスを作ります。
以下のような管理シートを活用することで、決められた施策や標準プロセスにのっとって活動していない人がいればすぐに分かります。
また、プロセス全体でのボトルネック分析を行ない、フェーズアップ率の低いプロセスを可視化することで、誰がどのプロセスで問題を抱えているのかが分かるようになります。例えばコンテンツの紹介から提案の合意までで問題を抱えているようなら、紹介方法に問題がないか確認する、うまく出来ている人のやり方を学ばせてみる、ロールプレイングでトレーニングを行うなど、いくつかの対策を行なうことが可能です。
上記がPDCAサイクルとして回れば、成果の高い人のやり方にだんだん周囲が近づけるようになります。
元キーエンスのトップセールスが教える 誰でも売れる「プロセス思考」営業術 | |
藤岡 晋
日本実業出版社 2013-09-20 |