魔導書(グリモワール) ソロモン王の鍵―護符魔術と72人の悪魔召喚術 | |
青狼団
二見書房 1991-12 |
黒魔術。ふと興味がわいて、当ブログで扱うジャンルではないと思いながら読んでみたのですが、意外なつながりがあったので紹介します。
黒魔術というと、「魔方陣を書いて、不思議な呪文を唱えて悪魔を召喚し、犠牲を払うことでその力を借りて望みを叶えること」だと思っていませんか?私もそう思っていたのですが、あながち間違いではないものの、少し違うようです。次の一文を読んで、私はびっくりしました。
それは、一言で言えば、意識を変容させる術なのだ。アレイスター・クロウリーはこう言う。『魔術とは、意識に変化をもたらすアートである』意識に変化が起こればどうなるか。実に意外なことに思われるかもしれないが、外界にもそれに応じて変化が起こるのである。
つまり黒魔術とは意識を変容させることで、外界の世界を変化させる技術だというのです。どうやら黒魔術の考え方の背景には、人間の精神と物質とは、連続しているものだという認識があるようです。人間の精神が変化すると、それが波動となって物質世界にも影響を及ぼし、現実世界を変えてしまう。
これを強い「意志」と「想像力」で行うのです。
何を馬鹿なと思うかもしれませんが、皆さんはこんな本を読んだことがないでしょうか?「思考は現実化するのだ」「強く願えば夢は叶う」「自分の理想の姿を具体的にイメージしてみよう」そして「自分はできる!自分はできる!自分はできる!」というように、鏡に向かって自己暗示をかけたりしていないでしょうか?(注意:私はしていませんよ)
つまるところ、中世ヨーロッパの黒魔術とは、現代の自己啓発のようなものなのです。現代ではもう少しロジカルにそのトリックを解明しているかもしれませんが、当時はそれが魔術だと考えただけなのかもしれません。
もう少し話を進めましょう。魔術は意識を変容させ、それによって無意識に働きかけるテクニックなのだそうです。普通の人は無意識の圧倒的な力に翻弄されているにすぎず、その結果おこるさまざまなことを「運命」だとしてうけいれています。それに対して黒魔術は、無意識を「意志」と「想像力」の力でコントロールし、現実を支配するのです。「無意識の力を活用しましょう」って、著名なビジネス書作家の方もよく書かれていませんでしたっけ?
ちなみに「悪魔に魂を奪われた」というのは、広大な無意識の津波に襲われ、人格が崩壊することなのだそうです。目標を紙に書きだして、眠る前に口に出して読み上げているあなた。それは、黒魔術です。
魔導書(グリモワール) ソロモン王の鍵―護符魔術と72人の悪魔召喚術 | |
青狼団
二見書房 1991-12 |
2 Comments
TAKUのこの変化球シリーズ、大好きです。(笑)
『魔術とは、意識に変化をもたらすアートである』
ほほう・・。
ってことは、アーティスト=魔術師!?
確かに、サルバドール・ダリや岡本太郎さんの絵を見ていると、確かに「魔術」という言葉がピッタリくるような気がしますね。
無意識からの情報を二次元のキャンバスの上に具現化させる魔術師。
そういう視点で芸術作品を鑑賞してみると、新たな面白さが発見できそうです!
>とっしーへ
好評いただけて、なによりです(笑)
確かに岡本太郎さんの絵、魔術みたいですよね。
芸術家の人たちって、本当に無意識にアクセスしてそれをキャンバスに具現化しているんでしょうか??
確かに、今までと違う視点で楽しめそうです。
奥が深いな~。