SEたるもの、お客様に信用され、頼られる存在でありたいものです。しかし現実には、「頼りないSEだな」というレッテルを貼られてしまうことも多々あります。
とある尊敬する方から紹介いただいた『SEを極める50の鉄則』にて紹介されている、「SE以外のビジネスマンから見た”SEの常識”」が、2000年に出版された内容であるにもかかわらず、今でも十分通用すると感じました。客観的に自分を見つめる材料として活用できそうです。
「頼りないSE」と周囲から思われないための20のチェックリスト
1.顧客や営業担当者が言う通りに仕事をする
つまり言われたこと以上の仕事はしてくれないということです。
2.売上額や利益などビジネス目標を知らない
それは自分以外の人の仕事だから、関係ないということです。
3.顧客やビジネスより情報技術(IT)を優先する
実際には、情報技術は顧客のビジネスを成功させるための道具に過ぎません。
4.「ITに強いSEが優秀なSE」と考えている
実際には、顧客が求めているのはITを利用した自社の問題解決やパフォーマンスの向上であって、ITしか知らないSEでは通用しません。
5.SEマネジャは特定の顧客だけ訪問し、現場のSEは担当顧客の部課長と話をしない
組織の問題解決をするのですから、現場担当者だけでなく、課長や部長クラスの人とも意思疎通をしておかなければ、良い仕事は出来ません。
6.「顧客の担当者よりITをよく知っていれば顧客から信頼される」と思っている
最近は顧客もかしこくなっているので、SEがITの知識ですら負けている可能性もあります。「エセSE」「エセコンサルタント」と思われないようにしたいものです。
7.プロジェクトで自分の受注した範囲は考えるが、顧客の担当範囲まで考えない
実際には、プロジェクトは顧客との共同作業なので、プロジェクトを成功に導く「頼りになるSE」は自分の担当領域以外にも目を配ります。
8.たとえ解決まで時間がかかっても、トラブルを自分で抱え込む
技術力ばかりに目が行き、対人スキルやビジネス感覚を磨かないでいると、こういう対応をしてしまいがちです。
9.データベース担当がネットワークの基本を知らないなど自分の担当外のことを知らない
現代では技術が多様化し、複雑に絡み合いながら、システムを構成しています。特定の領域に閉じこもっているSEに、システムの提案はできないでしょう。
10.相手のIT理解度に関係なく、IT用語を使って話す
自分の主張を伝え、納得してもらうためには、相手が理解できる言葉で話さなければなりません。
11.顧客の業界動向やアプリケーションを知ろうとしない
顧客の業界や業務を知らずに、顧客の問題解決ができると思うのは何故でしょうか?
12.顧客に積極的に提案しない
顧客の業界や業務を知らないから、自ら問題点を発見して、解決策を提案することはできません。
13.会議などで自分の意見をなかなか言わない
確かに、おとなしい人が多いような気がします。何故でしょう?
14.研修を受けていないITは知らなくて当然という態度をとる
顧客にとっては、研修を受けているかいないかなんて、関係ありません。
15.「これは自分の仕事、それは◯◯の仕事」とすぐ壁を作る
多くの仕事は、「ここまでは自分、ここから先は別の人」とキレイに切り分けることはできません。白でも黒でもない、グレーゾーンの仕事は、皆でフォローしあわなければ仕事は進みません。
16.プロジェクトで問題が起こると、「注文をとった営業担当者が悪い」と言う
プロフェッショナリズムを疑う発現です。まったく頼りになりません。
17.直接仕事と関係ない顧客の方に会っても挨拶もしない
私自身は、こういう場面を目撃したことはありません。
18.分かりやすい資料をなかなか作れない
ドキュメント能力については、SEだから低いという印象は、私にはありません。
19.各種の業務連絡がルーズである
8番目とも関連しますが、技術力ばかりに目が行き、対人スキルやビジネス感覚を磨かないでいると、こうなってしまいがちです。
20.部下のSEの育成は教育部門や人事部門の仕事だと思っている
私自身は、こういう場面を目撃したことはありません。
まとめ、次回予告
2000年に書かれた内容を引っ張ってきたにもかかわらず、「確かに、そういう人は多いかもしれない」と共感するものが多かったです。特に強く残ったのが、9項目目の「データベース担当がネットワークの基本を知らないなど自分の担当外のことを知らない」でした。「自分の得意分野を伸ばすことも大事ですが、狭い領域だけに閉じこもっていると、その領域でさえ力を発揮することはできないものですよね。ここを乗り越えて、「あの人は本当に頼りになるSEだ!」と思われたいものです。
次回はこの記事の続編として、『「頼りになるSE」へステップアップするための20のチェックリスト』について書いてみたいと思います!
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