お客様からオススメいただいて読んだ『CIOハンドブック』がかなりの良書だったので、今日はポイントをピックアップして纏めたいと思います。
1.CIOには3つの役割が求められる
【チーフインテグレーションオフィサー】
ITサービスを適性な品質、コスト、スピードを確保しつつ安定的に提供することが求められる。社内外の最適な専門性や資源を統合的に活用してITサービスを実現することが求められる。
【チーフインベストメントオフィサー】
ITによる改善・改革を実現し、投資を確実に成果につなげることが求められる。ITに関する投資と資産を全体統括し、運用効率を高めることが求められる。
【チーフイノベーションオフィサー】
ITを活かして、新たなビジネスモデル、新たな商品・サービス、新たな業務プロセスを生み出すことが求められる。
2.ERPを使うメリット
地域やブランドによって個別にシステムを導入していると、同じ取引先でも事業部ごとに取引先コードがバラバラになってしまったりし、情報を集約するのに時間がかかり、迅速な意思決定に利用できなくなってしまう。ERPでグローバルに統一することで、業務プロセスの標準化、データの共通化、IT基盤の共通化を実現し、ITをコストの削減と意思決定の集中化・迅速化が実現できる。
3.ITを用いてビジネスの迅速性を高める
ビジネスの迅速性を高めるポイントは、「標準化」と「再利用性」である。
【標準化】
情報と業務プロセスの標準化、およびそれらを支える情報システム(ハードウェア・ソフトウェア)の標準化を指す。情報が中央で集中的に整備・標準化されなければ、意思決定の精度を高めることは難しい。
【再利用性】
情報システムの部品化を指す。業務手続きを標準業務プロセスとして規定し、共通部品化する。それらを支えるITも、部品化の構造をとる。これらにより、いち早く新しい業務プロセスを「再利用」部品群から組み立ててサービスインができ、競争力の源泉となる。
4.事業部門とIT部門のギャップは広がっている
システムの複雑化に伴い、事業部門とIT部門のギャップは広がっており、IT部門は業務部門のニーズを上手く引き出せなくなっている。
【〜1980年代】
定常業務の自動化によるコスト削減が、IT利用の主眼である。ITの導入・運用・保守はメーカーの仕事であり、経理部門などが主に携わった。
【1990年代】
オープン化、ダウンサイジング、ネットワーク化が進み、情報通信技術や製品が多様化した。それに伴い、ITの導入・運用・保守に対する専門性が高まり、IT部門が必要となる。
【2000年〜】
インターネットの普及、ITの性能向上により、ITが事業を支える基板となる。その反面、システムの増加により運用保守の負担が増える一方、景気の悪化による人員削減を受け、IT部門と業務部門との距離はますます広がった。
5.システムアーキテクチャの管理が必要
【運用負荷の増大】
システムの増加・複雑化・個別最適化により、似たような製品・技術を使用し、異なるアプリケーション構造を持ち、似たようなデータを個別に管理している無数のシステムが溢れてしまった。
【品質の低下】
アプリケーションの不統一が、システム間の接続・連携を困難にし、業務効率やサービスレベルの低下を招いた。
【人材の流動性低下】
多様な製品・技術を使い続けるため、情報システム部門にはより多くの技術者が必要となり、かつスキルの共有が十分に行えないことで、IT人材の流動性は低下した。
6.SOA型システムの思想
SOA型システムを導入することで、業務モデルの変更や、サービス機能の再利用性は大きく向上する。結果、開発・運用コストの削減や、保守性の向上に大きく寄与することができる。
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野村総合研究所 システムコンサルティング事業本部
日経BP社 2009-04-16 |