主体的に動く アカウンタビリティ・マネジメント | |
ロジャー・コナーズ トム・スミス クレイグ・ヒックマン 伊藤 守
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2009-09-09 |
会社ではよく、「我社にはアカウンタビリティが足りない!」「もっとアカウンタビリティを持て!」というようなことが言われますが、よく知りもしないカタカナ語でかっこつけてないで、もっと分かりやすく説明してほしいものです。そもそもアカウンタビリティとは何なのか?というわけで今日は本書を通して、「アカウンタビリティ」について考えてみたいと思います。
1.よくある「アカウンタビリティ」の勘違い
「アカウンタビリティ」のことを日本語でしばしば「説明責任」と表現します。業績が悪いとき、不祥事を起こしたときなどに、企業の偉い人達が呼び出され、公の場で事情の説明を求められるのはよくあることです。しかし、過ちを告白して責任を取ることが、本当に生産的なことなのでしょうか?
本当の意味で責任を引き受けられる人は、まず上記のような事態になる前に、結果を出すための行動をするのです。アカウンタビリティが発揮されるのは結果を出すまでのプロセスであって、その後の言い訳に無駄な時間と労力を費やすためではありません。もしあなたがアカウンタビリティのことを、成功できなかったことに対する償いだと捉えているのであれば、考えを改める必要があります。
2.アカウンタビリティの定義
では、アカウンタビリティとはなんなのでしょうか?本書では以下のように定義しています。
「現状を打破し、求める成果を達成するまで、自分が問題の当事者であると考え、自分の意志で主体的に行動しようとする意識。すなわち、自分の意志で、現実を見つめ、問題に当事者として取り組み、解決策を見いだし、その解決策を実行しようとする意識」
つまりアカウンタビリティのある人とは、結果を出すことに責任を持つために、その過程で発生する障害を自分の問題として捉え、解決しようと行動できる人なのです。命令や統制を重視する企業では社員が自分の頭で考えなくなり、「何をすればいいのか教えてほしい」という態度を取るようになります。しかし、アカウンタビリティのある人は「何をすればいいか教えてほしい」ではなく、「こうしたいと思っていますが、どうでしょうか?」という自発的な態度を取るのです。
3.被害者意識から脱却しよう
アカウンタビリティの反対に位置するのが、被害者意識です。「不況のせいで業績が悪化した」「上司が無能だからプロジェクトが進まない」「もっと優秀な部下がいれば」・・・。こうして問題を誰かの責任にして、自分はあたかも被害者のように振舞っていても、事態は好転しません。
野球がいい例です。選手はそれぞれに守備範囲を持っていますが、たまに打球が守備範囲(責任)の重なる部分に飛んで来ることがあります。企業ではこのような部門間に存在する責任の所在があいまいな部分を「グレーゾーン」といいますが、このグレーゾーンにボールが飛んできたときに選手たちがお互いに責任を押し付けあっていたら、誰もボールを取れず、試合に勝つことは難しいでしょう。
ひとつのボールを落とさないよう全員が協力し合って働くこと。ボールが落ちたときは、それを拾おうと全員が飛びつくこと」
本当に結果を出すことに責任を持とうと思ったら、言われたことだけを実行するのではなく、進んで責任を引き受けて当事者として行動することが必要なのです。
【まとめ】
ざっくりまとめると、アカウンタビリティとは「全てを自分の責任だと考えること」であると言えます。例えば日本の政治に対して「首相が悪い!」「官僚が悪い!」と政治家のせいにしているうちは被害者意識から抜けだせません。しかし、それすらも自分の責任であると捉え、「自分にできることは何か?」と考えて行動すれば、事態は好転し始めるかもしれないのです。つまりアカウンタビリティとは、問題を解決し、結果を出すための魔法の鍵なのです。とはいえ、本当に何でもかんでも自分の責任として捉えてしまうのも、それはそれで大変なのですが。
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ロジャー・コナーズ トム・スミス クレイグ・ヒックマン 伊藤 守
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2009-09-09 |